王妃の紋章/CURSE OF THE GOLDEN FLOWER '07(中国)
こってり中華料理フルコースを堪能した後のように満腹&放心状態になるが、
それがなんともいえず心地いい。何度でも観たい一本である。
巨費を投じた豪華絢爛のセット、衣装、ワイヤーアクション、
「さすが中国、人口多いわ」と唖然とするエキストラの数。
なにもかもがスケールデカすぎで笑っちゃうほど。
過剰もふっ切れると快感になるといういい見本だ。
ファーストシーン、女官たちが一斉に起床して身支度をする。
まるで軍隊のように一糸乱れぬその動きに
団体行動が苦手なわたしはクラクラ・・・・
子の刻、丑の刻、と2時間おきに楽器を鳴らし、
なにやら口上を述べて宮殿を行列する家来たち。
その都度、王妃に運ばれる毒入りの煎じ薬。
王妃の衣装、装飾品、化粧は見てるだけで肩が凝りそうで、
健康な人間でも具合悪くなりそう。
ひゃーこんな時代に生まれなくてよかったーって感じ。
そこで繰り広げられるのは、妙に三面記事的なドロドロしたお家騒動。
小難しい歴史的背景や、ややこしい時代考証を省いて
ただただ王家とそれを取り巻く少人数の愛憎劇に徹しているので
すんなり物語に入り込め、ぐいぐい引き込まれる。
役者陣がうまいのと、豪奢な舞台のせいで
クサいほど芝居がかったコテコテ演出がちょうどいい塩梅。
「300スリーハンドレッド」では
退屈でドン引き状態だった苦手な甲冑戦闘シーンもよかった。
むしろ戦闘後の清掃シーンに「ここまで見せるか!」と思わず唸ったけど。
好きか嫌いか問われれば、好きじゃないけど観たい女優だ。
いつもそうだけど今回もすごい貫禄です。
百恵ちゃんどころか美空ひばりさえ彷彿とさせるオーラで、
コン・リー以外にこの役、いやこの映画は成り立たなかっただろう。
でもこの人、不幸眉なんだよねー。
量が多くて黒々した髪も情が深そう・・・
私生活はどうだか知らないけど、絶対ハッピーになれない女って気がする。
息子が3人もいて、そろそろ後継者に王座を譲る頃合なのに、
老いて(というほど歳取ってないが)枯淡の境地になんぞ死んでも行くものか、
ってギラギラ。そのくせ悟りきったような福々しい笑みを浮かべたりして、
チョイ悪どころか極悪オヤジなのだ。
ラストに放つセリフなど、残酷さもここまで徹底すると脱帽。
このあたりの感覚は日本人にはない気がする。
長男役のリウ・イエ、この作品で初めて知ったけど、
ちょいと気弱そうな優男でわたしのストライクゾーンど真ん中♪
この役は破滅型の色気があってよかったー。
自害を図って怪我した後、弱ったままで儀式に出席する姿なんか
ぐったり傾いた首の角度にぞくぞくした♪(トップ写真右端)
次男役のジェイ・チョウは「頭文字D」の時
「なんかイノッチみたい」とまったく興味がわかなかったが
今回はぐんと大人になって逞しくて見違えた。
でも、わたしにとっては「いい人なんだけどねー」的な存在だな。
三兄弟で彼だけ明らかに顔の系統が違うのはなぜ?
王家の主治医の娘で、長男とデキている女官役の女優に注目。
華奢なのに巨乳、元モー娘。の加護ちゃんみたいなロリ顔で
個人的には大嫌いなタイプの女なんだけど、
いかにも男好きするタイプで、どんぴしゃの適役!
'08 4 24 劇場 ★★★★★
監督:チャン・イーモウ
出演:チョウ・ユンファ、コン・リー、リウ・イエ、ジェイ・チョウ
by gloria-x | 2008-04-24 00:21 | 映画レビュー