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ボウリング・フォー・コロンバイン/Bowling for Columbine '02(カナダ・米)

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'99年、世界中を震撼させたコロンバイン高校の銃乱射事件をきっかけに、なぜアメリカでは銃犯罪発生数が他の先進国に比べて桁違いに多いのか、その核心に迫ろうとするドキュメンタリー映画。

公開当時の話題性から、もっと過激で実験的手法が目立つ内容かと思い込んでいて、マイケル・ムーアの取材方法についても、もっとゲリラ的なものではという先入観があったが、カンヌ映画祭でスタンディングオベーションが鳴り止まなかったというのが納得の真摯で感動的で質の高い作品である。(内容もフィルム作品としても)
ドイツ、イギリス、日本などは大虐殺の歴史を持っているし、カナダは狩猟の歴史があり、
個人の銃所持率も高い。
それなのになぜアメリカにおける銃犯罪の発生率だけが群を抜いているのか?
コロンバイン高校の犯人の少年たちは当日の朝、登校前にボウリングをしていた。
そして日頃からマリリン・マンソンの歌を聴いていた。
なぜマンソンは彼らに悪影響を与えたと批判され、ボウリングは問題にならないのか?

大上段に構えず、誰にでも理解できる素朴な疑問から核心に迫っていくスタイルがいい。
犯罪、戦争、歴史上の虐殺など暴力に満ちた記録映像も多いが、
取材風景ではムーア監督の「森のクマさん」的ルックスと、物静かで礼儀正しいが、
粘り強い語り口が一種の安心感を与えているように思う。
6歳の児童が同級生を射殺した小学校取材で、感情が昂ぶり泣き出した教師を
いたわるように、彼女の肩をそっと抱く後ろ姿が印象的。
興味深かったのはアメリカとカナダの比較。犯罪発生率の低さもだが、
カナダ人のほとんどが「就寝時でも家に鍵をかけない」という事実!
「アメリカ人は鍵で他人を閉め出すが、カナダ人にとって鍵をかけるのは
自分を閉じ込めること。そんなこと耐えられない」という発言は目からウロコ。
広大な国土による身体感覚か?
日本よりよっぽど安全だし、政治家をはじめ国民がガツガツ、ギラギラしてないし、
社会福祉などの面でもすごく暮らしやすそうだ。
アメリカの歴史をアニメでおさらいする部分も秀逸。
アメリカ人は新大陸への移住以来ずっと「恐怖と不安を刷り込まれている」
「恐怖と不安の虜になった人間は身近に銃を置いてはいけない」というメッセージが
シンプルかつダイレクトに伝わってくる。
人気警察番組への提案として監督自ら演じるパロディは短いけど細部まで爆笑!

'04 2 3 WOWOW 5段階評価★★★★★
監督・出演:マイケル・ムーア

by Gloria-x | 2004-12-09 14:18 | 映画レビュー