さらばわが愛~覇王別姫~/FAREWELL TO MY CONCUBINE '93(香港)

'03 8 31 BS2 5段階評価★★★★★
監督:陳 凱歌(チェン・カイコー) 出演:レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー

10年たって観直して昔はよくわからなかったことまでクリアになってさらに感動した作品。
京劇「覇王別姫」をストーリーの軸に、京劇養成所で出会った2人の少年の
運命に翻弄される人生を描く。抗日戦争、文化大革命なども織り込み、
まさに中国の歴史絵巻を見るようなスケール壮大な作品。
劇中の本格的な京劇シーンも華やかでみごたえあり、複雑に交差する人間模様と
恋愛心理もていねいに描かれ、一本で大満腹の映画。 
英語タイトルの「Concubine」って愛人、第一夫人以外の妻という意味らしい。

「ラストエンペラー」でも同じこと思ったけど、
中国って「一人の人間の一生でこんなに劇的に何度も時代が変わったの?」と驚嘆する。
蝶衣(レスリー)は少年時代から兄弟子にあたる小楼(チャン・フォンイー)に
淡い恋心を抱いている。
男への恋、しかもそれがマゾヒスティックな快感とセットになっているところが倒錯的だ。
蝶衣は女形なのだが「女として生まれ・・・」という歌詞をつい「男として生まれ・・・」
と歌ってしまう。
そのたびに団長に死ぬほど殴られるが直らない。
ある日、養成所を訪れた客の前で間違ったことで愛する小楼に
「二度と間違えないようにカラダで覚えろ!」と口の中に乱暴にキセルを突っ込まれる。
涙を流しながらもなぜか陶酔する蝶衣。
今まで身体を張って自分を守ってくれた小楼が自ら手を下して愛の鞭をふるったことが
彼の中に眠るM性を目覚めさせたのだろう。
口から血を流しながら吹っ切れたように「女として生まれ・・・・」と歌いだすシーンは
少年期のクライマックスだ。それ以後、彼はひと皮むけたように女形として花開いていく。

小楼が元・娼婦の菊仙(コン・リー)と結婚するまでが役者として栄華もきわめ、
2人の絶頂期であり蜜月期。その後、男女3人の三角関係のもつれ
(といっても小楼はストレートなので水面下の葛藤)から
小楼が役者をやめるという騒ぎがあり、2人は何年ぶりかに団長に呼び出される。
「京劇をおろそかにした」と2人並んで地面にひざまずかされ鞭打たれるとき、
蝶衣は屈辱と痛みに耐えながらも、幼い日々を追想してしあわせそうにさえ見える。
小楼をはさんで男と女が火花を散らすんだけど、
蝶衣にとってはしょせん実らない恋なので
したたかで戦いがいのある菊仙の存在はある意味苦しい恋心のスパイスになり、
よけい自己陶酔できた面もあるのではないだろうか?

レスリー・チャンはまさに水を得た魚!シナを作ったり、ツンと意地悪そうな顔をしたり、
意味も無く髪飾りを磨きながらコン・リーと張り合って座ってるシーンや、
フォンイーに京劇メイクをほどこしてあげる時の、内心ドキドキ、クラクラなのを
押し殺している表情など女より女っぽい。
京劇養成所の地獄のしごきはそれこそ児童虐待そのもので見るに忍びない。
少年期のレスリー・チャンを演じる少年が妖しいまでの色っぽさ。
(ちょっとグゥイネス・パルトロウに似てるような気が・・・・)
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by Gloria-x | 2004-12-09 13:37 | 映画レビュー