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スパニッシュ・アパートメント L'Auberge espagnole '03(仏)

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ヨーロッパの交換留学制度を利用してパリからバルセロナへ留学したグザヴィエ。
アパートのルームシェアに応募した彼は同居人たちによる面接の日、
初対面の彼らと長年いっしょに暮らしていたような不思議な居心地よさを感じ、
「ここに住みたい!」と思う。
ルームメイトはイタリア、ドイツ、イギリス、デンマーク、スペインと
ヨーロッパ各国から集まった男女でまさに人種と文化のるつぼ。
彼らと共にグザヴィエの「ごちゃまぜ」なバルセロナ生活がスタートする。

わたしがバルセロナを訪れたのは15年以上も前だが、
建物の石造りの質感、存在感が強烈に印象的で、
日本から遠く離れたヨーロッパへ来たことを実感した。
サグラダファミリアから見下ろしたり、
石畳の路地を歩く登場人物の足元からの目線になったり、
ただ美しいだけではない素顔のバルセロナを感じさせる映像が魅力的だ。
最初、ビデオの早送り風映像や、ストップモーション、画面分割、
画面上に主人公の位置をマークするなど「凝った手法」が鼻につき「あ~こりゃダメかも」
と危惧したが、すぐに普通のタッチになったので見やすくてやれやれ・・・

留学経験のある人、特にいろんな国の学生たちとルームシェアしたことのある人なら
すごく共感できて楽しいだろう。
カリフォルニアでの大学時代、アメリカ、日本、ペルー、フランス、中国人の男女で
ルームシェアしていた妹から当時聞いた、同居人たちについての様々なエピソードを思い出した。

出演者にほとんどなじみがなく、映像もドキュメンタリータッチなのでリアリティがあり、
それぞれのお国柄を代表する個性的なメンツがうまく描き分けられていておもしろかった。
ただ、そろそろ話がまとめに入るかと思いきや、また新しいエピソードが出てきて
キレが悪く感じたり、誰が誰だかわからなくなる部分もあってやや冗長。
グザヴィエと、医者の妻アンヌ・ソフィの不倫関係の描き方が安易というか浅く、
(アンヌ・ソフィのキャラクター設定が不十分なせいだろう)なくてもよかったように思う。
パリ時代の恋人マルティーヌとの関係についても同様で、そのせいで
最後にグザヴィエが泣きながらパリの街をあてどなく歩き、
マルティーヌとのしあわせだった頃を回想するというシーンがとってつけたように感じた。
この2つのエピソードがあまり効果的でないせいで全体に散漫な印象を与えるのが残念。
(「ごちゃまぜ」というタイトルに合わせてあるにしても)

グザヴィエと個性豊かなルームメイトたちのエピソードだけに凝縮し、その混沌を強調して
すっきりまとめたほうがグンと洒落た作品に仕上がったのでは。

'04 5 12 劇場 5段階評価★★★★
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、セシル・ド・フランス、ケリー・ライリー

by Gloria-x | 2004-12-08 01:54 | 映画レビュー