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朗読者/ベルンハルト・シュリンク

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映画愛を読むひとの原作小説。
予想していたほど重くないトーンで、翻訳文体もよく
スムーズに読み進むことができた。

裁判を傍聴してハンナの秘密を再確認したミヒャエルは
彼女の半生についてこう語る。

彼女は疲れ切っていたに違いない。
彼女は常に闘ってきたのだ。
何ができるかを見せるためでなく、
何ができないかを隠すために。


ハンナが隠し通してきた秘密さえ明かせば、
彼女の刑が軽くなる可能性が高いことについて
ミヒャエルは哲学者の父親に相談する。
その時の父親の意見がじっくり読めば読むほど深い。

わたしたちは幸福について話しているんじゃなくて、
自由と尊厳の話をしているんだよ。


ところで、映画ではミヒャエルという名がマイケルになっていたので、
わたしは最初ドイツに住む英国人かと思った。
ケイト・ウィンスレットと少年が出会ってすぐ英語で会話するし、
ごく素直にケイト=英国人だから、舞台はドイツでも英国人同士なのかと思った。
今さらながら原作どおり映画もミヒャエルにすべきだったと思う。
さらに、しつこいけど映画のセリフもドイツ語の方がよかった。


'09 7 ★★★★☆

by gloria-x | 2009-07-26 19:26 | ブックレビュー