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相続人TOMOKO / 大沢在昌

かっこいいのに嫌味じゃないヒロインを書かせたら大沢在昌の右に出る者なし!

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魔女の笑窪」「魔女の盟約」を教えてくれたmiffyさんのリコメンド。

彼女のコードネームはTOMOKO。元CIAの優秀な工作員。
上司の命令で米国有数の財閥ウェリントン家の総帥に接近したTOMOKOは
不覚にもターゲットと恋に落ち、結婚する。
実は彼女に下された命令の裏には巨大組織の陰謀が隠されていた。

前にも書いたけど、大沢在昌ってキャラクター作りの天才ですね!
特にかっこいいヒロインを書かせたら右に出る者なし。

完璧な容姿と頭脳を持ち、クールでタフ。
普通、こんなパーフェクトなヒロインってどこか嫌味で鼻につくはず。
特に女性読者の目で見ればツッコミどころ満載だろう。
しかし、大沢在昌が描くと鼻につくどころか
素直に「かっこいい!」とヒロインに好感を持ってしまうのがすごい。

これって男性作家には珍しい、得難い才能だ。

ジャンルを問わず、男性作家が描くヒロインって
女から見れば「こんな女いるー?」とか
「このヒロイン、絶対に女友達いないよねー」的なキャラが多いもの。

米国軍需産業と右翼の秘密組織、米陸軍特殊部隊、
日本の警察、ヤクザが入り乱れて一人の女の命を狙い、
TOMOKOは単身戦いを挑む。
荒唐無稽なストーリーだけど細部まで綻びがなく
(あってもわたしには気づかないけど)
結末までグイグイ引っ張られて一気読み!
そして、TOMOKOと一蓮托生のハメになる
元売春婦・智子の成長が気持ちのいい読後感。

映像化するなら誰だろう?と想像してたら
なんと!2000年に小柳ルミ子で映画化されてたらしい!
いや~そりゃないでしょ~(笑)

'12 2 ★★★★★
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by Gloria-x | 2012-02-25 15:51 | ブックレビュー

ティム・ガンのゴールデンルール/ ティム・ガン

ただのハウツー本と思うなかれ。笑いあり、感動あり、驚きあり♪

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プロジェクト・ランウェイは毎シーズン楽しみにチェックしていて
番組スタート時からティム・ガンの大ファン。
書店でこの本を見つけた時は「キャッ!こんな本が出てたなんて!」と小躍りした。
(もちろん誰でも美しくなれる10の方法も同時購入)

飛びつくように買ったけど、正直言うと
よくあるハウツー&ファッション業界の内幕モノかと思ってたら
笑いあり、感動あり、驚きあり!
読み物としてとっても魅力的なのだ。
とにかくティムに共感しっぱなし!
ますます彼のことが大好きになったわー♪

ティムはこの本の中で繰り返し言う。
人には優しく、礼儀正しく、マナーに気を配りなさい。


「ウェイターに失礼な態度を取る人々」
「権力を行使したがる人々」「礼儀のなさは罪」などの項を読むと
彼の人柄と生きる上での信条に好感を抱く。
特に、人とのつきあい方、墓場まで持っていくべき秘密
についてのティムの考え方には全面共感!

美輪明宏の名言
「人間関係は腹6分目くらいがちょうどいい」

を聞いた時に、雷に打たれたように感じたのと同じ
自分にOKを出されたような感覚を覚えた。

悪名高きアナ・ウィンターやマーサ・スチュアート、
ダイアン・フォン・ファステンバーグについてのエピソードも笑える。

上品でスタイリッシュな見た目&番組でのポジションから
わたしはティムについてこう思っていた。
たぶん家柄もよく、いい意味で苦労やコンプレックスとは無縁で、
順風満帆に成功への王道を歩んできたファッション界の大物。
もちそんスーツは高級デザイナーのオーダーメイド。
ところがこの本を読んでびっくり!
大変な努力家の苦労人で、経済的にも長年カツカツの生活だったらしい。
そして今でもスーツは既製服とか。

家族の話は驚きと笑いの連続!

ティムの父親はFBIでフーバー長官のゴーストライターを務め、フーバーとも長年親しかった人物。
ゲイであることをカミングアウトしているティムだが
子供の頃、妹とバービー人形で遊んでいるティムを見た父は
常軌を逸した態度で怒り、濡れたタオルでティムをぶったのだとか。
今思い出してもその時の父親の怒りは異常だったらしい。
そのことを女ともだちに話すと
「ひょっとしたらお父様もゲイだったのでは?」
そう言われてティムは告白する。

フーバー長官と父親の関係を
ずっと疑っていたのだと!


この項は最近J・エドガーを観たばかりなので信憑性があった。

ティム曰く「エリザベス女王にそっくり」な母親のキャラと数々のエピソードも強烈だ。

大人になってから母とランチをしていて、
レストランで泣くほどの言い争いになったエピソードは
まるでわたしと母のことかと思った(笑)


ティムはゲイだと公言しているが
母親は未だにそのことに気づかないフリをしているという。
しかも、55歳の息子にネクタイや服の趣味への小言から始まり
「もういい歳なんだから誰かと一緒になる気はないの?」と言うのだとか。
(ほんとに母親という生き物は・・・・(-_-;)

さらにすごいエピソード。
母親は夫が家に持ち帰って隠したFBIの最高機密文書の草案を見つけ出し
バスルームに閉じこもってゆっくり読みふけったという。
それに気づいた父親は、ドアを叩いても妻が開けないので
ついに斧でドアをぶち破ったのだとか!

ティムはこの本で自身のトラウマを告白している。
かなり衝撃的な内容なのだが、大げさにならず芝居がからず、
真面目だけど深刻ぶらず、
終始正直な態度で語っていることに尊敬の念を抱いた。

以下は特に共感した一文

◆おしゃれをしたり礼儀にかなった格好をするのを重荷に感じる人もいます。
  (中略)もしそうならずっとベッドの中にいればいい。

◆やる気のない格好でぼうっとしていれば、
  まっとうに生きていくことなどできるわけがありません。

◆人前できちんとした格好をすることは、自分に自信を持ち
  周りの人たちに敬意を表すことと同義なのです。
  通りを歩いていて、きちんとした格好をした人たちに出会うのは
  ほんとうに楽しいものです。

◆「話せば楽になる」・・・・この世で最も陳腐な決まり文句のひとつです。
  過ちを打ち明けることで他人を傷つける恐れはないでしょうか。
  あるなら、黙っていましょう。

'12 2 ★★★★★
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by Gloria-x | 2012-02-17 16:35 | ブックレビュー

彼女が消えた浜辺/ ABOUT ELLY '09(イラン)

男女を紹介する時は、周囲にも根回し、手順を踏んで、くれぐれも慎重にね。

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週末旅行で海辺のリゾート地を訪れた大学時代の友人家族。
セピデーはそこに若い独身女性エリを半ば強引に連れてきていた。
エリはセピデーの子供が通う保育園の教師で、
セピデーは離婚して落ち込んでいる仲間のアーマドに
エリを紹介しようとひとり張り切っていたのだ。
気心の知れた中に初対面の若い女性が一人。
最初はややぎこちない空気が漂うが、初日はまずまず楽しく終了。
そして事件は2日目に起きた。

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ほとんど観たことのない国の映画というのは
ストーリー以外の諸々に目を奪われて
おもしろいのか否か判断がつかないまま
最後まで引き込まれて観てしまうことがよくある。

「芸術作品」の場合、退屈や難解だと早目に見切りをつけるが
これは「ミステリー」だと思ったので結末が気になり、最後まで観てしまった。

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仲間内の家族旅行に勝手に自分の知り合いを連れてくるセピデーってどうなの?
こういう「世話焼きの空回りタイプ」っているよね~
もっと若い世代なら「飛び入り」も歓迎ムードだろうけど
みんな所帯持ちだし、気心知れた仲間でゆっくりしにきてるのにさ~
(後でセピデーの夫も妻のスタンドプレーを苦々しく思ってたことがわかる)

で、エリがもっとノリノリの「カレシ募集中で~す!」的なコなら話も違うけど
(それはそれでかなりうっとうしいが)
明るくふるまってはいるが、自分より年上のメンバーに気を遣ってるし、
なによりどことなく陰があるもんだから、みんなも気を遣う。

とはいえ、エリは感じのいいコだし、アーマドもまんざらでもない様子なので
みんなも2人をカップルにしようと盛り上げるんだけど・・・
そのやりかたよ!

身内だけの目配せ、
低レベルな冷やかし、クスクス笑い・・・
まるで昭和の中学生!
社交を知らない野蛮人!


アーマドがドイツで働いている設定なので
中東から出稼ぎ労働者の人たちかと思ってたら
ロースクールの同窓生たちだって!
(そういえばBMWに乗ってたっけ)
上記のような態度といい、異様なテンションで歌い踊ったり・・・
とてもそうとは思えない洗練とは無縁な雰囲気なんですけどー。
このメンバーのノリにわたしまで疲れて
エリと同じく「早く帰りた~い」って思ったわ。


ミステリー要素もあるので詳細は省くが
子供が波打ち際で遊んでるのに、母親ははしゃいで車で買物に行くわ
男たちは海と反対側の庭でバレーボールに夢中だわ・・・
事件後の話し合い(ここがこの映画のキモ)も身勝手だし、
茶番みたいな事後処理もいいかげん。
「えー!そんなんでいいの?」って唖然。
ま、セピデー以外のメンバーの気持ちは理解できなくもないが・・・

今後、この仲間で旅行することはないだろうね。

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ところで中東の女性ってスッピンOKでうらやましいかぎり。
ハッキリ!クッキリ!まつ毛もバッチリ上向き!
朝起きて目が腫れぼったいなんて絶対ないだろうなー。
ま、実際には眉毛がつながってたり、口ひげが生えてる人ゴロゴロいそうだけど・・・

イスラム教徒女性必須の被りモノ、うっとうしいだろうな~
目以外全て覆うタイプよりはましだけど(名称など知識不足ですみません)
そういえば中東ってもっと男尊女卑かと思ったら、
意外にも女性が夫に対してものすごく強気に出ていてびっくり!

イランで保育士の給料ってけっこういいのだろうか?
見るからに新品のヴィトンのボストン持ってるし・・・

そんなことを考えながら観てました。

カスピ海沿岸、もっとスカーッと明るい海かと思ってたら
まるで秋冬の米東海岸かドーヴィルみたい・・・
この風景は哀愁があってけっこう好きだけど。

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'12 2 WOWOW ★★★☆☆
監督:アスガー・ファルハディ
出演:ゴルシフテ・ファラハニ、タラネ・アリシュスティ、シャハブ・ホセイニ
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by Gloria-x | 2012-02-14 17:52 | 映画レビュー

サラの鍵 / Elle s'appelait Sarah '10(仏)

ジュリアの妊娠にまつわる顛末以外は言うことなしの作品!
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1942年フランス、1万3千人のユダヤ人をフランス警察が逮捕。
ドイツの収容所に移送されたユダヤ人のほとんどが虐殺されたという
「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」をテーマにした作品。

警察が家に踏み込んだ時、ユダヤ人の少女サラは
とっさに幼い弟を納戸に隠して鍵をかける。
その後両親とサラはドイツの収容所へ移送され、家族はバラバラに。
サラは弟を助け出すために収容所を脱走するが・・・

一方、現代のパリ。
ジャーナリストのジュリアは特集記事を書くため
「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」について調べるうちに
夫の祖母から譲り受けたアパルトマンに、かつては
収容所送りになったユダヤ人一家が住んでいたことを知る。


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ユダヤ人たちがいったん収容された「競輪場」描写は
生々しさ、臨場感が生理的に直撃!
板のベンチが並ぶ観客席にすし詰めにされ、
トイレは使用禁止、飲み水すらもらえない。
着の身着のまま数日間過ごした後、トラックに詰め込まれて収容所へ・・・

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サラが弟を閉じ込めてきたことに対し、
両親共に「お前のせいだ!」「勝手にあんなことして!」と
子供相手とは思えないほど感情むき出しで怒るのが意外だった。
あんなに子供思いの家庭的な親なのに・・・

アメリカや日本映画だったら、親の本音はともかく
「お前は少しも悪くないよ」と娘を抱きしめるのでは?
個人的には子供に対して必要以上に理解ありすぎたり、
尊重しすぎる風潮に日頃から疑問なので、えらくリアルだなぁと印象に残った。
わたしの親も子供だからって容赦なく、
感情のままに怒りをぶつけるタイプだったしなぁ・・・(-_-;

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クリスティン・スコット・トーマスは好きな女優なので
安心して観ていられたし、この役もしっくり馴染んでいたと思う。
知的で人間的で、職業人としても一人の女性としても好感が持てるキャラクター。

ジュリアはアメリカ人で、フランス人の夫とティーンエイジャーの娘がいる。
45歳という設定でジャーナリストとしてバリバリ仕事もしている。

ところが、思いがけず妊娠してしまうのだ。
夫は「年齢的にも今から子供の親にはなれないよ」と出産に反対。
すごく正直で現実的だと思う。(夫はたぶん50代)
夫婦関係は良好、揃って仕事も充実、娘も一人いる。
祖母から譲り受けたアパルトマンのリフォームも順調。
人生設計はパーフェクトなのだ。
そこへ今さら妊娠!?アクシデントでしかないでしょー。

しかしジュリアはそんな夫に失望し、怒る。
夫の現実的意見には耳を貸そうともしない頑なな態度。
そのあたりからジュリアにまったく共感できず・・・

あまりにも妊娠に固執するので
もしかして上の娘は夫の連れ子?と思ったがそうじゃないみたい。
「長年不妊治療して、2度も流産してやっと授かったのよ」と言うけど
夫婦+上の子の年齢考えたらどんな家族計画やねん?

結局ジュリアはその子を産むのだけど
女性が妊娠したら、現実的状況など一切無視して
「生命賛歌」でめでたしめでたしってどうなんですかね?


しかもその子供の名前がー!
終盤、子供の名前を聞かれるシーンで
「まさか~いくらなんでもそんなベタなことしないよねー」と
一瞬頭をよぎったそのまんまとは!
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ジュリアについてケチばかりつけたけど映画は素晴らしかった。
こんな時代にも良心と勇気を持つ人間はいたことに感動!
サラの後半生はドラマティックでアメージングだ。
成長後のサラを演じた女優、どこかで観た気がするんだけど・・・
公式HPにも情報なしで残念!

エイダン・クインが特によかった!

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'12 2 劇場 ★★★★★
監督:ジル・パケ・ブレーネル
出演:クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、エイダン・クイン
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by Gloria-x | 2012-02-10 20:12 | 映画レビュー

J・エドガー / J.Edgar '11(米)

えっ!そうだったの?(事実)えっ!そういうテーマだったの?(映画)驚きの連続!

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FBIの初代長官を務めたジョン・エドガー・フーバーの半生。
イーストウッド監督作品なのでハズレなしとわかってはいたが、
もっと難しくて硬いジャンル、たとえば
13デイズ「ニクソン」「フロスト×ニクソン」みたいな作風かと構えていたが・・・

社会派ドラマと思いきや
なんとラブストーリーじゃありませんか!
しかも衝撃的な!


フーバー長官の個人的側面は初めて知ったけど、
時代的にも、職務的にも
現代人の想像をはるかに超える凄まじい抑圧だったんでしょうねぇ・・・

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フーバー長官(ディカプリオ)の補佐役として生涯彼をサポートし続ける
副長官トルソン(アーミー・ハマー)がいい♪
ソーシャルネットワークの時はボディダブル&特撮で双子役を演じた。
あの時はルックスにしか目がいかなかったけど意外と演技派!
上流階級出身の役柄がピタリとハマってた!
高級仕立て屋でのシーンがいい~♪

多数の大学新卒応募者の中からトルソンを採用したフーバー。
実は面接前からフーバーが彼に目をつけていたのだが
採用にあたってトルソン側から条件が・・・
「善き日、悪しき日、どんな日でも、毎日ランチかディナーを共にすること」
これってかなり直球の告白ですよね~。

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デカプー、世間の評価はイマイチだけどわたしは好き♪
大人になってもボクちゃん顔。それが特殊メイクで ↓

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老けメイクしてもボクちゃん(笑)
デカプーって演技力もあるのに、なぜか不当評価されて可哀想(T_T)

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ナオミ・ワッツ、なんかいつも清潔感なくて好きじゃないわー。
今回は「女」を前面に出さない役柄で邪魔にならずよかったけど・・・。
フーバー長官の生涯にわたる個人秘書。
よく考えると彼女もかなり変わった女性だ。
あの時代、うら若い娘が出世街道まっしぐらのFBI職員にプロポーズされて
あんな断り方ができるなんて只者じゃないよね?
彼女はどんな背景を持つ人物だったのか、
まったく描かれてないだけにかえって興味をかきたてられる。

そうそう、チェンジリングでわたしが「オードリー春日みたい」と評した
ジェフリー・ドノヴァンがロバート・ケネディ役で出演。
似てる!(春日じゃなくR・ケネディに)
この人の肌の質感苦手~!なめし革みたいで・・・


'12 2 劇場 ★★★★☆
監督:クリント・イーストウッド
出演:レオナルド・ディカプリオ、アーミー・ハマー、ナオミ・ワッツ、ジュディ・デンチ
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by Gloria-x | 2012-02-08 22:36 | 映画レビュー

海街Daiary 1~4 / 吉田秋生

わたしも三姉妹ゆえ、姉妹モノって理屈抜きで共感の宝庫。

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鎌倉に住む香田三姉妹、幸、佳乃、千佳のもとに、山形県から父の訃報が届く。
父親は15年前に家族を捨てて女性と駆け落ち、以来音信不通だった。
葬儀に行くと、姉妹の父親は駆け落ち相手とは既に死別し
別の女性とお互いに子連れで再々婚していたことがわかる。
姉妹はそこで異母姉妹の中学生・すずと出会う。


妹SHIHOのリコメンドで読了。
わたしも三姉妹(+弟)なので、姉妹モノには理屈抜きで共感してしまう。

向田邦子「阿修羅のごとく」谷崎潤一郎「細雪」
映画だと「イン・ハー・シューズ」
江國香織もよく姉妹モノを書いてるけど、ちょっと違うんだよなー。
あ、姉妹モノの定番「若草物語」は
わたしの母が好きだったらしいけどわたしは未読。
話はそれるが、女子なら誰もが好きと言われる(ほんまかいな?)
「赤毛のアン」も一度も読んだことがない。
子供の頃からいわゆる「女のコ」じゃなかったのですねー。

姉妹というのは不思議な関係である。
女ともだちよりも親密で気楽でありながら
微妙な力関係や距離のバランスがあるし、
血が繋がっていても(いるからこそ?)踏み込めない領域もある・・・

同じ両親から生まれ、同じ家で育っても
性格もモノの考え方、感じ方も違う。
そして、意外なことに「共有した過去」の捉え方も違うのだ。
わたしは大人になってから初めてそのことに気づいて
かなりショックを受けたのだが
この物語はそこがきちんと書かれているのがすごい!


姉妹モノって長女はたいてい真面目でしっかり者。
香田姉妹の長女・幸もベテラン看護師で絵に描いたような「長女」
残念ながらわたしはまったく長女タイプじゃないので
いつもちょっと複雑な気分になる。

次女・佳乃の酒呑みっぷりがリアルでシンパシー♪
三女・千佳は絶妙なキャラクター&ポジションだ。
三姉妹、小競り合いや、時にはシリアスな口論もあるが
基本はしっかり結束しているし、時にはお互い見て見ぬフリをするところが大人で◎

中学生すずが実質的な主人公なのだが
物語のボリュームバランスとして、
大人たちのエピソードがもっと多くてもよかったのでは?

*************************

わたしも子供時代には妹たちと壮絶なバトルを繰り広げてきた。
殴り合い、服が破れるほどのつかみ合いはもちろん、
2対1に分かれて陰湿な無視というのも・・・
そこで切磋琢磨してきたおかげか
現実社会の同性関係にはあまり悩んだことがない。
と同時に、女同士でいつもツルんだり、女だけで群れたりが大の苦手!
「公園デビュー」とか「ママ友」と無縁の人生でよかったわ~(-_-;


'12 1 ★★★★★
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by gloria-x | 2012-02-05 16:27 | ブックレビュー

犯罪 / フェルディナント・フォン・シーラッハ

残酷な話ばかりなのに気品さえ感じる短編集。簡潔で硬質な文章が効果的。

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書店で一目見て強烈に惹かれた。
ドイツ人の弁護士という著者のプロフィールから
「FBI心理分析官」的な内容かと思っていたら
まったく逆方向だったけど久々に当たり!の一冊。

一生愛しつづけると誓った妻を殺した老医師。
兄を救うために法廷中を騙す、移民の犯罪者一家に生まれた末弟。
人や動物が数字に見えると言い、羊を殺し続ける伯爵の息子。
エチオピアの寒村を豊かにしたドイツ人銀行強盗。
弁護士の著者が現実の事件を基に、
異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを描く短篇集。


残酷で異様な事件の話ばかりなのに、
芸術的、文学的というか美しさや気品さえ感じるのが不思議。
感情を削ぎ落として淡々と紡がれる簡潔な文章が◎!
「エチオピアの男」「チェロ」が好き。



'12 1 ★★★★★
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by Gloria-x | 2012-02-02 11:14 | ブックレビュー