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この本が、世界に存在することに/角田光代

本を読む人か、読まない人か。読む人でよかった、とあらためて思う。

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本への愛情をこめて書かれた9篇の短編集。

一緒に暮らしていた恋人に、好きな人ができたと告白され
主人公がまず口にした質問は「その人、本を読むの?」
恋人は「え」と少し驚いた顔をしてから
「読まない。読まないと思う。そういうこと、関係ないんだ」と答える。
同棲解消のために共有の本棚を整理しながら主人公は考える。


見も知らない人だけれど、
きっと馬鹿に決まっている。
だって本を読まないような人なのだ。
    
(彼と私の本棚)


この感覚、すごくよくわかる!
わたしは物心つくかどうかの年齢以来ず~っと
本が手放せない「活字中毒」である。

夜眠る前には必ず本を読むし、
遠出や旅行の際は必ず本を持っていく。
手元に読む本がないと落ち着かないのだ。
外出先だけでなく、家にいるときでも
もう読んでしまった本しかない、という状態は本当に困る。

本を読むから賢い、読まないからバカとは思わないけれど
本を読まない人のことは
なんとなく、打てど響かないというか
心の底からわかりあえないというか
自分とは別種の生き物のような気がしてしまうのだ。

本の一番のおもしろさというのは、
その作品世界に入る、それに尽きると私は思っている。
一回本の世界にひっぱりこまれる興奮を感じてしまった人間は
一生本を読み続けると思う。

(あとがきエッセイ)

わたしも完全にこれだ。きっと死ぬ直前まで本を手放さないだろう。

'10 7 ★★★★☆
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by gloria-x | 2010-07-30 23:01 | ブックレビュー

いとしい人/THEN SHE FOUND ME '07(米)

ヘレン・ハント38歳の設定はあまりに無謀!どう見ても50歳以上に見えるもん・・・

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以前からヘレン・ハントのどこがいいのかピンとこなかった。
美人じゃなく色気もないのに、なぜか恋愛映画によく出る。
しかも「美人っぽい役」で・・・不思議。
それでも「恋愛小説家」「ハート・オブ・ウーマン」あたりまではギリギリ許せたけど
これは「ミスキャストもいいとこ!よりによってなんでヘレン・ハント?」と呆れたら
本人が脚本・監督もしてたのね、納得。
だけど、もっと客観的な目で自分を見たほうがいいと思うわー。
監督業もするならなおさら・・・誰も何も言わなかったのかしらん?

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1963年生まれなので撮影当時44歳。えーっ!50歳以上にしか見えないんですけど・・・
ジュリア・ロバーツ、ホイットニー・ヒューストンと同い年。
日本人だと広田レオナ、今井美樹、高樹沙耶、藤谷美和子・・・
やっぱり日本人って若く見えますねぇ!

で、ヘレン・ハント。
口角が下がっているというのが「老け顔」の最大理由。
そのうえ口の脇のシワというか溝がくっきり深い。
体型は薄っぺらで貧相。
肌質は水分・油分ゼロって感じでパサパサ。
もう「老女」の域に入っちゃってる感じ。
それに、この人ってなんか生活感がにじみ出るのよねー。

これで妊娠・出産のタイムリミットに怯える38歳の役ですよ!?
マシュー・ブロデリックが夫で、新しい恋の相手がコリン・ファースですよ!
ちょっと見ていてイタかったな~
わたしは日頃「痩せたい」「薄い体型になりたい」と口癖のように言ってるけど
女って痩せすぎは老けて見えるのね・・・


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ヘレン・ハントは生後すぐ養子に出されたという設定で、
ある日、突然実の母親が名乗り出る。
それがベット・ミドラー演じるTVの人気司会者。
2人がレストランで初めて会うシーンは
映画的に狙った効果じゃなくショックだった。
だってヘレン・ハントの方が年上に見えるんだもの。

ベット・ミドラーはまだまだ女として現役感満開!
ムチムチした体型なのに、脚はキレイなのがうらやましい・・・

とりあえずヘレン・ハントの老けっぷりに驚いたことと
今後は役柄を考え直したほうがいい
ということだけを言いたかった映画でした(;^_^A

'10 7 WOWOW ★★★☆☆
監督・脚本:ヘレン・ハント
出演:ヘレン・ハント、コリン・ファース、ベット・ミドラー、マシュー・ブロデリック
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by gloria-x | 2010-07-28 12:10 | 映画レビュー

夜歩く

ここのところ殺人的な暑さ

うっかり昼間外に出ようものならまるで火あぶりの刑・・・
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やむをえず出かけるときは、なるべく紫外線浴びないように
日陰から日陰へと忍者のように移動・・・




夏は日が暮れてから活動するのだ。そうヴァンパイアのように。
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日課のウォーキングももちろん夜。

都会の夜の道路はウォーキングする人、ジョギングする人、
自転車(移動手段としてではなく運動として)こぐ人がいっぱい!


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わたしはスポーツウェアにランニングシューズ、ipod装着で
一目見てウォーキングしている人の格好で歩いてます。






夕涼みの散歩か、コンビニへでも行くような普段着で歩いてる人もいるけど
やっぱりスポーツウェア派のほうが姿勢も歩き方もサマになってる。
形から入るのも大事ですよね!

年配のご夫婦が普段着に首からタオルかけて
仲良く歩いてるのはとっても微笑ましいけど。

歩いていると、けっこう他人の歩き方の特徴が目につく。
前方から来ると、思わずニヤついてしまうのが
両手を体側に沿って振らず、体の前で左右にシャッシャッと振って歩く人。


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わたしは「欽ちゃん歩き」と呼んでいる。
←両手がこんな感じ

肘を曲げ、歩くリズムに合わせ両手を左右に・・・車のワイパーみたい。
肘を曲げない人の場合は太ももに付いたゴミを払ってるみたい。



欽ちゃん歩きはウォーキングの人より一般歩行者に多く
リュックや斜めがけバッグの人に多いみたい。
腕の動きがストラップで制限されるからかな?

あ、わたしの歩き方も他人様から「プッ」と笑われてるかも?
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by gloria-x | 2010-07-25 09:47 | おしゃれ・美容・運動

下流の宴/林真理子

このリアルさ!林真理子だからこそ書けた「格差社会」
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おもしろすぎて2日で一気読み!
でも、いろんな意味でかなり複雑な気分にもなります・・・(-_-;
ものすごくリアルだし、ものすごく丹念に取材してるし、
著者が実体験や豊富な人脈を通して培ってきた諸々が
集大成として生かされているという感じ。

医者の父を10歳で亡くした由美子(48歳)は母から事あるごとに
「お父さんさえ生きてくれていれば
お医者様のお嬢さんだったのにねぇ・・・」と言われて育つ。
やがて由美子は社内恋愛を経て結婚し一男一女をもうける。
いい大学を出てきちんとした会社に勤める夫、そして子供。
自分たちはどこに出しても恥ずかしくない
品と教養のある中流だと信じていた由美子だったが、
いつの間にか下流に落ちていたことに気づいて愕然とする


由美子一家の変化のきっかけは息子の翔だ。
私立の中高一貫校で高校生になったとたん中退。
やりたいこともなく、欲しいものもなく、努力も嫌いで、口癖は「別にぃ・・・」
ずるずると20歳になった翔は漫画喫茶でアルバイトし、
一生バイト暮らしでいいとさえ言う無気力さだ。

娘の可奈は翔とは正反対だ。
小学校高学年の時に自らお嬢様学校として有名な私立を
受験したいと言い出すが親に反対され、やむなく公立の中高へ。
しかし大学進学時に再びこう言う。
「下手に偏差値が高い大学を狙うより、
お嬢様学校のブランド力がある大学へ行ったほうが得」
なぜなら、若くキレイなうちに高学歴・高収入の男をつかまえて結婚し、
安楽な生活を手に入れてから、やりたいことを見つけるため。
そして、実際に恵まれた容姿をフルに活用し、
エリートたちとの合コンに明け暮れる。
とことん合理的で明確である。

由美子の価値観を作ったのは母親である。
父の死後、母は「医者の未亡人」として父の実家の援助で暮らさず
潔く家を売ってアパートに引越して働き、
女手ひとつで娘2人を大学進学させ、自力で家まで建てるのだ。
この母親は後に登場するが、かなり魅力的なキャラクターである。
彼女は同じアパートに住むよその子供達について
娘たちに繰り返し言い聞かせる。

「ああいう子たちとは住んでいる世界が違うのよ。
世の中にはずうっとアパートで暮らす人と、ほんの一時期暮らす人がいるの。
このアパートで生まれ、このアパートで育った人たちとは根本的に違うのよ」

両親の価値観の刷り込みや
方針・判断(後年、確固としたものではなかったことが判明しても)が
いかに強力で、子供の人生を長きにわたって支配するか
わたしも恐ろしいほど身に沁みて知っている。
子供が自力で気づいた時には手遅れなことも多い。
だから、わたしのそれと形は違えど、由美子がこの年齢で、理屈ではなく
母の呪縛から逃れられないのはよくわかる


翔がオンラインゲームで知り合った珠緒という娘と
結婚したいと言い出したことから騒動は始まる。
珠緒は沖縄の離島で生まれ育ち、高卒で上京してアルバイト暮らし。
沖縄では珍しくないらしいが両親は離婚し
共に別の相手と再婚したので兄弟姉妹が合計8人いるという。
こんな珠緒のバックグラウンドは由美子には問題外。

「教養がなくて下品でお話にもなりゃしない。育ちが違うのよ育ちが」
「それってヤンキーじゃない。そういうのが妹になるかと思うと頭がクラクラしてくる」
そういう可奈も、母に対して辛辣な言葉も忘れない。
「でも教養がないって言っても翔だって中卒じゃない。
世間から見れば「下流の人々」よ。同じ位置に立ってるのよ」

翔の結婚を阻止したい由実子は珠緒に言う。
「うちは主人も私も大学を出ています。
主人は早稲田を出て一流企業に勤めるちゃんとしたサラリーマンです。
私も四年制の国立を出ていますから、
教養あるちゃんとした家だと誰にも言えるわ。
そしてね、私の父親は医者だったんです。
父親の兄も、私の妹の夫も医者をしています。
言ってはナンですけれども、沖縄のどっかの島で
飲み屋をしているあなたの家と違うんですよ」

「医者の娘っていうだけで、そんなにいばれるんですか。
そんなに医者ってえらいんですね。じゃ、私も医者になります」

自分と家族を全否定され、侮辱された珠緒が思わずこう啖呵を切り
高卒アルバイトの22歳で医大受験をめざすところから
話はまたどんどんおもしろくなっていく。
そうそう珠緒というキャラクターだが、最初こそ「うわー」と思うが
実はクレバーでまっすぐで好感のもてる魅力的な人物である。
そして結末は・・・

'10 7 ★★★★★
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by gloria-x | 2010-07-22 14:49 | ブックレビュー

重力ピエロ '09(日本)


予想外によかった!根本的な部分に納得いかないけど、それを言っちゃおしまいなので・・・
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原作は伊坂幸太郎。人気ありますねー。
わたしはたまたま読んだ一冊が合わなくて、以来手を出してないけど・・・
これも原作は未読だが、この話は映画で観たからよかったのだと思う。
とにかくキャスティングの勝利という感じだ。(ネタバレあり)

大学院で遺伝子研究をする兄・泉水と、
グラフィティアート(落書き)消しの仕事をする弟・春。
2人は、仙台の街で起こる連続放火事件現場と
グラフィティアートの関連性に気付き、事件の謎解きに乗り出す。
しかし、それが17年前に家族に起きた悲劇につながっていく。
兄弟の母は17年前に連続レイプ犯に襲われ、春を妊娠したのだ。


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弟・春役の岡田将生が魅力的なのは言わずもがな。
ただのキレイな顔したイマドキのコじゃなかったのね。
兄・泉水役の加瀬亮も華のある岡田を単に引き立てるだけじゃなく、
バランスの妙というか、地味に徹した存在感がすごい。
そしてこの映画、子役のキャスティングもきちんとしてるのだ。
洋画では珍しくないけど、成長後のルックスと違和感ない子役を配していて◎
春役の子役が可愛かった♪

思わずホロリとしたシーン
寝る前に二段ベッドの上下で遊んでいた兄弟
春が思い詰めた口調で「お兄ちゃん、レイプってなに?」と聞く。
どう答えれば弟を傷つけず、この場の空気を変えられるか悩んだ泉水が
苦し紛れに上の段からひょっこり顔を出し
「レープ、レープ、ファンタグレープ」と唱えて弟を笑わせる。
すると、弟も幼いながら兄の気遣いを察し
質問のことは忘れたフリで一緒に唱えるのである。

役者として「おっ!」と目を引かれたのは吉高由里子。
高校時代から春をストーカーしていた根暗なブスが
振り向いてもらうために全身整形したという役どころなのだが、
バーのカウンターから兄・泉水の不審な行動を目撃し、
思わず凝視する最初の登場シーンの表情で「おっ!」と思い、
自分が尾行されていると勘違いした泉水に問い詰められるシーンの
演技なのか何なのか戸惑うようなすごい存在感に「只者じゃないかも」と思った。
(大昔のキムタク主演ドラマ「ギフト」で初めて篠原涼子を見たときと同じ感覚)

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鈴木京香は好きな女優のひとり。
幼い泉水をベビーバギーに乗せてお買い物し
オリジナルらしき野菜の歌を歌いながら、子供を機嫌よくさせつつ
帰宅するシーンなど自然でいい味出していたなぁと思う。

渡部篤郎もまさに適役!
この人、こういうキモい役柄で世に出てきて
一度好感度アップしたのに、一周回って原点に戻ったって感じ(笑)

納得いかないポイントその1
そこに文句つけちゃこの話自体が成り立たないんだけど、
レイプ犯の子供とわかっていて産むという決断はいかがなものか?
たまに実話でもこういう話を見聞きするけど
生命というものを間違った方向で過剰に神聖化しているような気がするのだが・・・

納得いかないポイントその2
春がレイプ犯の子供であることは狭い田舎ゆえ誰もが知っていて
子供達も他人の噂や中傷から聞かされて育っているという設定。
それはしかたないとしても、母親の事故死後、
わざわざ父親が「話しておくことがある」と二人の息子を呼んで
あらためてそのことを告げるのはいかがなものか?
ここは嘘でも「他人は憶測でいろんなことを言うが、春はまちがいなく俺の息子だ」
と言うべきではないだろうか?春はまだ高校生だし・・・

そのへん、ドラマティックな効果を計算したフィクション臭を感じるものの
全体的には予想外の佳作だった。


'10 7 WOWOW ★★★★☆
監督:森淳一
出演:加瀬亮、岡田将生、小日向文世、
    鈴木京香、吉高由里子、渡部篤郎
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by gloria-x | 2010-07-21 14:16 | 映画レビュー

つやのよる/井上荒野


登場人物全員に好感持てず、読後感もすっきりせず・・・
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井上荒野には一時期ハマったのに、
直木賞受賞作「切羽へ」が甚だしく期待ハズレで
以降、個人的にはその感覚が続いていて残念だ。

艶という名前の、性的に奔放で美しい女性と関わった男たち。
その男たちそれぞれの妻、愛人、娘などが章ごとに語り手として登場する。
彼女たちのほとんどは艶を直接には知らないが、
初めてその名前を聞いた瞬間から
艶という女のことが意識の片隅にとりついたようになり、
本能的に警戒心や敵対心のようなものを抱くようになる。


いろんな人物の視点を通して語られる艶という女をはじめ
唯一、男性の語り手である艶の最期の夫・松生、
艶の最初の夫・太田とその愛人etc・・・
出てくる人物(主役も脇役も)&彼らが語る内容すべてに
理屈抜きにいや~な生理的嫌悪を感じた。
一時ハマった好きな作家だけに
単にこの作品と「相性が悪かった」であってほしいけど・・・


'10 7 ★★☆☆☆
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by gloria-x | 2010-07-20 12:13 | ブックレビュー

クララ・シューマン~愛の協奏曲~/GELIEBTE CLARA '08(独・仏・ハンガリー)

笑う映画じゃないのに、何度も思わず失笑・・・ごめんなさい

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19世紀を代表する天才作曲家、ロベルト・シューマンとヨハネス・ブラームス。
師弟関係の二人が生涯愛した女性は、シューマンの妻でピアニストのクララだった。
ブラームスの末裔である女性監督が
芸術家たちの秘められた三角関係を美しい旋律にのせて描く伝記映画。

シューマンもブラームスもクラシック作曲家として
名前も作品も知ってはいたが、まさかこんなドラマがあったとは・・・
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子沢山のシューマンが巡業生活に疲れ、生活費を稼ぐために
交響曲の作曲とオーケストラの指揮の仕事を請けるんだけど、
アル中で精神が弱く満足な仕事ができない。
そこで妻のクララが夫の代わりに指揮をする、というのも驚きなら

コンサートでシューマンとクララが
二人羽織状態で指揮するシーンには仰天!

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史実に基づいてるらしいし、観客は特に気にしてないようなので
当時のコンサートではそんなに珍しいことじゃなかったのかな?
でも、2人の指揮が息ぴったりじゃないので
(明らかにクララがシューマンをリードしている)
楽団員も演奏しにくそうだし、ビジュアル的にも変でしょー。

やがてアル中だけで収まらず、阿片中毒にもなるシューマン。

タリラリラ~ン♪ と踊りながら
ご陽気に練習場に入ってきて
いざ指揮台に立つと、一転
ムンクの叫びみたいなポーズで
幻聴に苦しみだす


真剣に観てるのに、何度も失笑ですよ。
思わずダーリンとシューマンのモノマネ合戦に・・・

自らも才能ある音楽家でありながら、夫を支えて家族を守るクララ。
シューマンが精神病院に入院すると
自分が巡業に出て稼ぐというのだ。あっぱれ!
ブラームスと心を通わせながらも
最後の一線は越えない古風で貞淑な妻なのに、
かもしだす雰囲気はすごく現代的。
クララの人物像はほんと文句のつけようがない描かれ方だ。

それに比べてブラームスはなんか影が薄かったなー。
シューマンが強烈すぎるから?(笑)

あと、前半はわりと時系列に沿って現実的に話が展開するのに
後半になって、急に幻想的なシーンが多発。
今までそんなつもりで鑑賞してなかったので、調子が狂うったら・・・
それならそうと最初から小出しにしてくれないと。


'10 7 WOWOW ★★★☆☆
監督・脚本:ヘルマ・サンダース=ブラームス
出演:マルティナ・ケデック、パスカル・グレゴリー、マリック・ジディ
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by gloria-x | 2010-07-17 15:28 | 映画レビュー

パスタマシーンの幽霊/川上弘美

大人の「不思議ちゃん」、だけどナチュラルだから違和感なし。

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女性作家が書く女性について、わたしはいつも
「こんな女いるかー?」とか「こんな女とはともだちになれないなー」とか
いろんなことを感じながら読んでいる。

好きか嫌いか、共感できるか否か、リアリティがあるか否か・・・・

たとえば小池真理子森瑶子の書く女性は
「ザ・女」って感じで苦手・・・
世代的な感覚差なのかもしれないけど
すべてにおいて自分とは異人種という感じ。
生活感なさすぎだし、シリアスというか、かっこつけすぎというか・・・


角田光代の書く女性は↑とは逆に、
わたしには雑で女度が低すぎる感じ。

林真理子が書く女性は、共感できる部分もあるけど内面ドロドロしすぎ!
基本的にイジワルそうだし、常にいろいろチェックされてしんどそう。

江國香織の書く女性は「不思議ちゃん」が多いが、どうも作為的・演出的で鼻につく。
話してるとイライラしそう。

山本文緒の書く女性は「角田光代+林真理子×もっと根深く怖そう」

姫野カオルコの書く女性は小池・森タイプとは違う意味で異人種という感じだが、
好感が持てるし、適度な距離感を保ってつきあえそう。




で、いちばん無理なく共感できて、好感持てるのは
川上弘美の書く女性のような気がする。


男子も女子もせいいっぱい「もて」をめざすべし、
という世間の風潮と自分は無関係と思い込んでいたのに
三十歳になってから、突然「もてる」ようになった主人公。
そして、それは何かの間違いなんじゃないかとしょっちゅう思っている。
「もしかして、わたしって、マ性?」と手帳に書き込む。
(魔という漢字が思い出せなかったらしい)

~どの男の子も、律儀にメールや電話をくれて、
律儀に食事に誘ってくれて、律儀にホテルに連れていってくれる
でも、魔性の女、というものとも、もちろんわたしは全然違う。
そのことは、よくよく承知している~


このすばらしい客観性!
川上弘美の書く女性は、
いい女ぶったり、ヒロイン気取りにならない。
そこが好きだ。


同棲していた恋人にふられ、出て行った男の荷物を捨てながら
歯ブラシが使い古されていたことにあらためて気づく主人公。

~新しいのを買ってあげようと思いつつ、買いそびれていた。
買わなくて得した。そう思ったとたんに、また悲しくなった~ 


ともだちの夫がともだちを殴ることについて「DVじゃない、それ」と息巻く主人公。
しかしともだちは「いや、あたしの方がもっと殴るから」と落ち着き払っている。

~そういう結婚は、いやだな~

上昇志向とか、ギラギラした欲望とか、
「わたしが!わたしが!」的な自己主張とは無縁で
くよくよしたり、自己嫌悪に陥ったり、弱腰になったり・・・
それでも悲劇のヒロインぶらず、悲しみながらも同時に
醒めた目で自分を見たり、日常的なことを考えたりしている。
淡々としてるが、女度も低くない。
そういう女性像に好感を抱くし共感する。

けっこう現実離れした話や「不思議ちゃん」な主人公も多いけど
作為的じゃないので自然に受け入れてしまう。

'10 7 ★★★★★
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by gloria-x | 2010-07-14 12:59 | ブックレビュー

ドラムライン/DRUM LINE '04(米)


マーチング・バンドがこんなにエキサイティングだったとは!
思わぬ拾いモノ!かなりお勧めです♪

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ハーレムの母子家庭に育った天才的なマーチングドラマーが
その才能でアトランタのA&T大学の特待生にスカウトされる。
しかし自信過剰な態度やスタンドプレイからバンドの和を乱し、
さらに楽譜が読めないことも発覚して除名になるが・・・と
ストーリー自体はよくある話だが

パフォーマンスシーンの見ごたえたるや!
特にドラム・バトルの迫力は鳥肌モノ

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マーチング・バンドというと整然とお行儀よく演奏するイメージだったけど
それをいい意味で裏切ってすべてが新鮮&驚き。
まるで軍隊みたいなハードな練習だし、上下関係も絶対。
白人なのに、このバンドと黒人が大好きで、
わざわざ入部する学生もいて、ちゃんと仲良くやってるのもいい。

ブラックカルチャー映画ってあまり好きじゃない。
これは舞台が馴染みのない黒人大学だし
有名どころのラッパーも出演したりするけど
「Yo! Men」系の世界じゃないのが◎

スポーツ競技の12分間のハーフタイム、
全米の大学から選び抜かれたマーチング・バンドが出場し
バンド・バトルの優勝を賭けて、究極のテクニックを競い合う。
この迫力も黒人バンドだから?
白人がメインだったり、日本人のバンドはまた違うのかな?

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主人公デヴォン役のニック・キャノンがいい。
バトルの時のクールな表情がセクシー❤
デンゼル・ワシントンの若い頃に似てるな~と思いつつ
「ボビー」で観た時もそう思ったのを思い出す。
調べたらマライア・キャリーの夫だったのね!

'10 7 DVD ★★★★★
監督:チャールズ・ストーン三世
出演:ニック・キャノン、オーランド・ジョーンズ
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by gloria-x | 2010-07-12 14:50 | 映画レビュー

インシテミル/米澤穂信

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時給11万2000円の求人広告に応募した男女12人。
仕事の内容は7日間「暗鬼館」という建物で過ごし
24時間の行動すべてを観察されること。
報酬は24時間×7日。
規定に合えばボーナスも加算されるという。
12人には鍵のかからない個室が与えられ、
そこにはそれぞれ殺傷力のある武器が用意されていた。
次々に人が死んでいき、残された者たちは疑心暗鬼に・・・
果たして観察者の目的は?



本書の背表紙を目にするたび頭の中で自動的に
「インシテミル」⇒「淫してみる」と翻訳していた。
著者もジャンルも不明のまま
特に興味もそそられないので
勝手に純文学かなぁと思い込んでいたら

映画館で映画化作品の予告編を観て
「へえ~こういう話だったのか」と興味を覚えて読んでみた。
(映画では10人になっているみたい)

クローズドサークル物というんですね。
映画「CUBE」とか「エス」
クリスティ「そして誰もいなくなった」などを思い浮かべつつ
前半、けっこう引き込まれて読み進む。
後半にさしかかってやや中だるみするも、
ラストが気になって一日で読了。
おもしろかったけど、
最も肝心な「犯人の動機」ネタバラシがあいまいですっきりしないのが残念!
(と感じてるのはわたしだけ?)

'10 7 ★★★☆☆
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by gloria-x | 2010-07-11 14:23 | ブックレビュー