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そんな彼なら捨てちゃえば?/He's just not that into you.'09(米)


「SATC」からスピンオフしたガールズ・トーク・ムービー。
邦題はイマイチだけどね。
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わたしのオールタイム・ベスト・ドラマ「SATC」のワンシーン。

屋外でランチタイム中のミランダが、近くにいた2人のOLの会話を小耳にはさむ。
「彼から電話がないの。どう思う?」
「大丈夫、きっと仕事が忙しいだけよ」
最近、同じことで悶々と悩んでいたミランダは、おせっかいを承知で声をかける。
「ごめんなさい、言いにくいんだけど、
彼はあなたに興味がないのよ。次に行ったほうがいいわ」
ミランダらしい親切心からだが、言われたOLは当然ムカッ!
「なにあの女!」
「頭おかしいんじゃない?」
と、この痛快なシーンからスピンオフしたのだとか。
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内容はまさに「SATC」に登場するエピソードをコラージュした感じ。
ちょっと冗長な気もするが、ワインなど飲みつつリラックスして観るには◎
「わかる、わかる!」「言えてるー!」など、
たいていの女子なら共感しつつ、クスクス笑うだろう。

スカーレット・ヨハンソンはここでもお得意のセクシーでボヘミアン的な役。
女が見ても「うひょ~♪」となる色っぽいカラダ!
ドリュー・バリモアはちょっと影が薄いというか、老けたのか、
キュートでセクシーな魅力が出てなくて残念!(スカヨハに譲った?)
80年代でいえばジョーン・キューザック的な役どころか。

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ジェニファー・アニストンは好きな女優ではないけれど、
この手のラブコメに出るとリアルな感じがして好感度高い。
もしなれるなら、わたしはスカーレットのBODYよりこっちがいい。
ジェニファー・コネリーってこんなにおブスだっけ?と思わず二度見!
硬質で色気のないカサカサした雰囲気にびっくり!上手いけど。

で、よかったのがジニファー・グッドウィン。
カレシが欲しくて、果敢にチャレンジしては玉砕続きの女子を
嫌味なく、好印象に演じていた。
彼女、コミカルな役だけじゃなく業の深い怖い役もできそう。
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女優陣に比べて、男優たちが揃ってインパクト弱かった気がする。
特にケヴィン・コノリー、ジャスティン・ロングは、ワンエピソードだけの人かと思ったほど。
ガールズ・トーク・ムービーゆえなのかもしれないけど?

'10 5 DVD ★★★★☆
監督:ケン・クワピス
出演:ジェニファー・アニストン、スカーレット・ヨハンソン、ドリュー・バリモア、
    ジェニファー・コネリー、ジニファー・グッドウィン、ベン・アフレック、
    ブラッドリー・クーパー、ケヴィン・コノリー、ジャスティン・ロング
    
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by gloria-x | 2010-05-30 15:52 | 映画レビュー

無理/奥田英朗 


「最悪」「邪魔」に続く待望の長編群像劇!

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町村合併でできた人口12万人のゆめの市。
文化的なものや、富裕層・知識層は皆無で、
国道沿いのショッピングセンター「ドリームタウン」が唯一の盛り場。

そんなゆめの市で暮らす5人。
社会福祉事務所で生活保護を担当する公務員、
東京の大学に進学して町を出ることだけが目標の女子高生、
暴走族あがりで、老人宅に詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン、
スーパーの保安員をしながら新興宗教にのめりこむ離婚中年女性、
父の選挙区を継ぎながら、田舎の政治がつくづくイヤになっている市議会議員。
鬱屈を抱えながら日々を送る5人が、思いがけない事態に陥っていく。


奥田英朗作品はこの系列が好き。
最悪邪魔もジェットコースターに乗ったように
途中で読むのをやめられず、2日くらいで一気読みした。
で、待ちに待った新作だが、今まででいちばんしんどかった・・・

古い商店街は寂びれ、路線バスは廃止になり、
車がないと買い物にも行けない田舎で、
老人たちは荒れ果てた団地に取り残されている。
さらに、生活保護受給者が群を抜いて多く、年々増加。
特に多いのが、若くして結婚、出産、離婚したシングルマザーたち。

って、もう夢も希望も突破口もなし・・・(-_-;

よくできてるし、おもしろいのは確かなんだけど
読んでる間中、なんだかどよ~んと重苦しいというか、厭世観いっぱいになり、
日本という国にも、自分の将来にも明るい要素なんかない、
という気にさせられてしまった。

前2作は悲惨で荒唐無稽な状況ではあるものの、
まだ破滅的なパワーみたいなものや、フィクションの醍醐味があったが、
これは変にリアリティがあるだけにどんどんネガティブになってしまう。
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ>」の舞台である地方都市に通じる閉塞感。

唯一の慰めは、こんな町に生まれ育たなくて、
今後も住むようなハメにならないって思えたことだけ?


'10 5 ★★★★☆
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by gloria-x | 2010-05-29 15:36 | ブックレビュー

私の中のあなた/My sister's keeper '09(米)

   号泣!お涙ちょうだいの難病モノって嫌いなのに・・・
   劇場で観なくてよかったー(T_T)


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該当する方には申し訳ないけれど、
わたしは人工授精、体外受精、代理出産などには断固反対派だ。
人それぞれ言い分はあるだろうけど、
自然に妊娠しないけど子供はものすごく欲しい、だから、
大金を積んでも医学の進歩にすがって

人工的に生命を作って
この世に送り出す、という行為には
「神をも恐れぬ行為!」と
本能が理屈抜きでNO!と叫ぶ


自然な妊娠出産だとしても、親になるにあたって
「資格試験」的なものを設けたほうがいいと思うくらいなのだから。

だから、この映画の基本的な設定には吐き気をもよおす。
カズオ・イシグロ著わたしを離さないで以上に残酷だ!

11歳のアナは、白血病の姉ケイトに臓器提供するために
スペアとして遺伝子操作で作られた娘。
生後すぐに臍帯血を提供させられ、以後何度も
ケイトの治療のために自分の肉体を犠牲にさせられてきた。
ある日、アナはTVで人気の弁護士を訪ね
「これ以上姉のために臓器提供をしたくない」と両親に対して訴訟を起こす。

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いや、もう考えられないでしょ!
最初に生まれた子供の命を守るために
臓器提供要員としてスペアの子供を作るという発想!

生まれた子供には当然、人格があり感情もある、成長もする。
その子の人生ってもんがあるのだ!
この両親はそんなこと考えもしなかったのかねー?

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でも泣けるんです・・・
家族それぞれが、それぞれを思いやる心情とかね。
わたしのツボは、ケイトが作ってる家族写真のコラージュアルバム。
病床でそれをめくりながら
家族それぞれに語りかけるシーンで号泣!
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ケイト役は米ドラマ「ミディアム」で長女アリエルを演じるソフィア・ヴァジリーヴァ。
このコ、基本的にブスなんだけど、表情や角度によって、エロかったり
どうしようもなくブスだったり、将来どうなるかやや不安なルックス・・・

アビゲイル・ブレスリンは今まで観た中でいちばんよかったと思う。
色気のあるタイプにはならないと思うが演技派だろうね。
弁護士役のアレック・ボールドウィン、
判事役のジョーン・キューザックもGOOD!
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キャメロン・ディアスもよかった。
「この母親、頭おかしいんじゃないの?」と思わせるほど
ヒステリックになるシーン満載で・・・
そして、役のためにこの姿!勇気あるよねー。
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個人的にはキャメロン・ディアスの妹役(2枚目写真の左側)に目がいったわー。

'10 5 DVD ★★★★★
監督:ニック・カサヴェテス
出演:キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールドウィン
    ソフィア・ヴァジリーヴァ、ジェイソン・パトリック、ジョーン・キューザック
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by gloria-x | 2010-05-26 21:26 | 映画レビュー

ブロードウェイミュージカル♪

アメリカ在住の妹がブロードウェイデビュー!
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2年後に公開のミュージカル「Allegiance」の翻訳を手がけることになり、
出演者・原作者と共に発表朗読会&パーティーに出席したとのこと。

↑イラストの顔は怖そうだけど、妹が送ってきた
ツーショット写真見ると主役は甘いマスクのイケメン♪

第二次世界大戦時、カリフォルニアの日系人収容所が舞台で
「スタートレック」のジョージ・タケイ、
「ジョイ・ラック・クラブ」のタムリン・トミタ、
「ミス・サイゴン」の主演女優さん
などが主要キャストとか。
(彼女の役名がグロリアなのだ)

三姉妹で「すごいね!」などメールでやりとり、
「一人で黙々とセリフと格闘しているところ」だそう。
ただ翻訳するだけじゃなく、歌詞もあるし、
セリフを限られた文字数に的確に収めるのも大変そうだ。

もしわたしで役に立つのなら、と
「日本語で困ったら遠慮なく聞いてね」と送ったら
「マジで助けて~」とのこと。

アメリカ暮らし20年の妹曰く、ほんとかどうか
「もう日系人化して日本語がおかしくなってきている」のだそう・・・


わたしは長年、日本語の文章で食べてきた身。
雑誌の記事のほか、広告コピーも書いていたので
短い文字数にピタッと要素を盛り込むなんて
朝メシ前のエキスパートですので(笑)

ということで妹の助っ人をすることに。

さっそく妹が訳したセリフがドドッと送られてきた。
ふむふむ、おもしろそう。
どんな作品として完成するのか今から楽しみ!

Allegiance(アリージエンス)サイト
http://www.allegiancemusical.com/index.html
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by gloria-x | 2010-05-23 17:39 | 美術・芸術・音楽

歩いても 歩いても '08(日本)


SHIHOの熱烈リコメンドで鑑賞。よかった~!
姉妹でシンパシーを共有できました♪
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「誰もが自分の家族の物語を重ね合わせずにいられない」
このキャッチコピーそのまんま。

良多(阿部寛)は妻(夏川結衣)とその連れ子アツシを伴って実家に帰る。
15年前に事故で亡くなった兄の命日なのである。
実家には開業医だった父(原田芳雄)と母(樹木希林)が暮らし、
今日は姉(YOU)と夫(高橋和也)、2人の子供も来ている。
久々の帰郷だが、父親と相性の悪い良多は気が重い。
結婚相手が子連れの再婚女性であることを
両親が快く思っていないだろうし、
自分が失業中であることも隠さなければならないのだ。
そんな彼の憂鬱をよそに、家族は久しぶりに賑やかに食卓を囲む。

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なんというリアルさ!

役者全員、ほんとの家族みたいに自然で呼吸ぴったり。
家族ならではのわだかまり、意地の張り合い、気まずさ、気遣い、
家族だからこそ話せないこと、聞けないことなどが
さりげないセリフや仕草に見事に表現されている。
また、血のつながっていない家族(良多の妻子、姉の夫)の
「元は他人」という立場の存在感、気の遣い方の表現も絶妙。
高橋和也が特にいい味を出していた。

YOU演じる娘がよかった!
陽気なムードメーカーで、気ままにふるまい、好き勝手に喋っているように見せて
実はちゃんと場の空気を読んでさりげなく気配りしている感じ、
わたしは妹のSHIHOを見てるようだと思い、妹はわたしを見てるようだったとか(笑)

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家がセットと思えないほどリアル!

台所、風呂場、かつて子供たちの部屋で物置になっている二階など、
住んでいる人には風景の一部になっているけれど、
客観的に見ると手のつけようなくゴチャゴチャしてたり、老朽化してたり、
実際に家族が長年住んでいる家みたい。
美術担当の人エライ!日本映画には珍しいと思う。

樹木希林とYOU母娘がいろいろ喋りながら料理しているシーン、
料理を盛った大皿や小皿、グラスが食卓いっぱいに並べられるシーン、
わたしが実家に帰ったときのまんまで笑ってしまった。

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個人的には自分の実家よりも、子供の頃、毎夏休みを過ごした大叔父の家を思い出した。
家族構成も同じだし、なにより樹木希林演じる母親が大叔母にそっくりなのだ。
(すっとぼけて人をグサッと刺すところはわたしの母にもそっくり)

子供のいる前で、大人は無防備にけっこう重大なことを喋ったり
生々しい感情をさらけだしたりするものだが、
大人が見くびっている以上に子供は理解しているし、
理解したうえでわかっていないフリをするものなのだ。
そんな自分の子供時代も懐かしく思い出した。


是枝作品は「花よりもなほ」がわたしには激しく期待ハズレで、
誰も知らない」の高評価さえ揺らぎそうだったが、これで再浮上!

'10 5 20 DVD ★★★★★
監督:是枝裕和
出演:樹木希林、原田芳雄、阿部寛、YOU、夏川結衣、高橋和也
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by gloria-x | 2010-05-21 16:02 | 映画レビュー

エレクション~死の報復~/黒社會Ⅱ以和為貴 '06(香港)


観ているだけで脳内に快感物質が充満するのってわたしだけかしら?

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「エレクション 黒社會」の続編。
前作では暴力描写のえげつなさに「そこまでやる!?」と仰天したが、
またもや「次から次へ、よくこんなこと思いつくなぁー」と感心。

暴力シーンの容赦なさ、臆面のなさは
トー作品の大きな魅力なのだ。


和連勝会に次期会長選挙の時期がやってきた。
長老たちは若き幹部のジミーを次期会長に推すが、
現会長のロクが再出馬すると言い出す。
任期2年のしきたりを無視した掟破りに長老たちは大反対。
一方、ジミーはビジネスにしか興味がなかったが、
やむを得ない事情で立候補するハメに。
ジミーを阻止しようとするロクと、野心達成に賭けるジミー。
血で血を洗う戦いが始まった。

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おなじみの顔ぶれが嬉しい♪

ロクを演じるサイモン・ヤムの凄み!
懐の深そうな笑みをたたえた表情がかえって怖い。
「復讐するは我にあり」の緒形拳を彷彿とさせる。

らせん階段の構図、美しくて惚れ惚れ♪

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インテリヤクザのジミー(ルイス・クー)
絵に描いたような正統派二枚目。
レトロなムードを漂わせた髪型とか、
観たことないけど「白い巨塔」の頃の田宮二郎を思わせる。

妻を眺望絶佳な高台に連れて行き
「ここに家を建てるぞ。子供が生まれたら
息子は医者、娘は弁護士にするんだ」と夢を語るジミー。
黒社会における権力欲はなく、ビジネスで成功したいと願う彼が、
葛藤しつつも非情な男になってゆく。
いったん腹を括ってからのジミーの残虐さよ!
そして、なんともいえない静かな恐怖の余韻が残るラスト・・・
ちょっとフランス映画のようだった。

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前作で確実にトラウマを負ったロクの息子も健在だった!
実父ロクよりも、むしろ継母似の東南アジア系なのが不思議。

わたしの周囲で女子不人気ダントツNo1(笑)のニック・チョン。
ハードボイルドな男の哀しさをたたえたいい役なんだけど、
やっぱり生理的にねぇ・・・

ラム・カートゥン、ラム・シュご両人はいかにも彼ららしい役どころ。
わたしにはお初のアンディ・オンは
ちょいと気になる存在感だったのに、早々消えちゃって残念・・・

'10 5 DVD ★★★★☆
監督:ジョニー・トー
出演:ルイス・クー、サイモン・ヤム、ニック・チョン、
    ラム・シュー、ラム・カートン、
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by gloria-x | 2010-05-19 18:12 | 映画レビュー

都会の蔵

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「蔵見ニスト」を名乗り、東京都内に現存する「お蔵」の写真を紹介されている
kiyotayokiさんの影響を受けたのか、最近、ウォーキング時に
けっこう都会のお蔵を発見するのです。

わたしも元来、古い建物が好きなのですが、
大阪の街中にもこんなにお蔵が残っていたとは意外でした。
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一枚目の写真はお屋敷の門構えを残して一部をマンションにされたもの。
敷地の一部にお蔵が残っていました。
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こちらはちょっと荒れ果てたお蔵。
背景のタワーマンションとのコントラストが味わい深い・・・
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こちらも立派なお屋敷の一角。
電線と交通標識が写ってしまうのが残念!

kiyotayokiさんも同じことをおっしゃってましたが、
都会のお蔵を撮影するのってけっこう難しいんですねー。
閑静なお屋敷街の個人宅なので

立ち止まってアングル考えたりしてると
我ながらどう見ても不審者(笑)


あえてデジカメにせず携帯で撮りました。
怪しまれそうになったら電話やメールしてるフリで
ささっと立ち去れるように・・・(;^_^A

また発見したら撮影してみます♪
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by gloria-x | 2010-05-17 16:00 | 出来事・世間・雑感

イジワルばあさん宣言

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空いていた電車に途中の駅からドッと人が乗り込んできた。

われ先に座ろうとする人の群の中、
すごい勢いで優先座席を確保した親子連れが!

同じタイミングで座ろうとした老夫婦は
親子の勢いに押され、諦めて行ってしまった。

40代の父親と小学生の息子。
詰めれば7人座れる座席なのに
親父がふんぞりかえっているため5人仕様に!

席を詰めるそぶりも見せず携帯をいじりだす親父は
中年なのに茶髪・ヒゲ・ピアス・金のネックレス。


そのとき、ひらめいた考えのおもしろさに
思わずダーリンに耳打ち。

「わたしがおばあさんになったら
あんな親子の前でわざとヨロヨロ
倒れてうずくまってやろうっと」


もうひとつある

「知らない人から『おばあちゃん』って
呼びかけられたら、ポカンとして
『あら、わたし孫はいないんですのよ』
と言ってやる」


「あはは、それってイジワルばあさんやん」とダーリン。

そう、わたしはイジワルばあさんになるのだ!わはは!(^_^)

あ~今から楽しみ♪
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by gloria-x | 2010-05-14 19:39 | 出来事・世間・雑感

リアル・シンデレラ/姫野カオルコ

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ものすごくおもしろくて、少し泣ける小説。
といっても、もちろんあのテの「泣ける小説」ではない。


「シンデレラ」を再読したある女性編集者は
幼い頃から覚えていた違和感を思い出す。
「この人って、しあわせ?」

~感情的な母親のもと、粗末な身なりをさせられて
 暮らしている一人の娘が、 不思議な力や強運により、
 経済力のある支配的地位の男性と結婚する~

編集者の違和感とは、’70年代以降批判されてきた
受動的過ぎるヒロインの姿勢ではなく、
ヒロイン以外の登場人物ばかりが目立つこと。

プロダクション社長も同じような疑問と不満を漏らす。
「なんでこの人が勝った女の代表みたいになってんの?
そもそもこの人、美しくないじゃん」
彼はある女性の名前を挙げ、彼女こそほんとうのシンデレラだと言う。
そして、編集者はその女性の一代記を書くことになった。


と、ここまでがプロローグ。
本編は長野県の温泉旅館の娘に生まれた「倉島泉」という女性について
様々な人に取材した証言をもとに構成されていく。
有吉佐和子「悪女について」もそうだが
語る人によって主人公の人物像が激変する
(この小説では容姿さえも!)おもしろさがある。

そしてなによりも姫野カオルコならではの
まるで数式を読み解くような論理の展開と分析!
(こういう表現でいいのか自信がないが)
登場人物のキャラクター描写や、彼らの心理・行動の分析に
いつにも増して「姫野節」が冴えまくり!

ラストで「リアル・シンデレラ」というタイトルの意味が心に沁みる。

'10 5 ★★★★★
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by gloria-x | 2010-05-12 19:21 | ブックレビュー

掏摸 スリ /中村文則

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裕福な人間だけをターゲットにする天才スリ師。
ある日、彼は「最悪の男」と再会する。
闇社会に生きるその男の名は木崎。
木崎はある仕事を依頼してきた。
「失敗すればお前を殺す。もし逃げれば
最近お前が親しくしている母子を殺す」
その瞬間、木崎は彼の絶対的な運命の支配者となった。


あらすじだけだと、たとえば馳星周の小説みたい。
中国人強盗団を装った議員暗殺、
別の政治家、IT関連企業社長、
公益法人理事などの失踪や事故死。
一見無関係に見える出来事の裏に潜む闇組織。

ノワールな題材でも
純文学になるとこんなテイストなのねー!


ターゲットの物色、接近、実行、逃走に至る
緻密で緊迫感あふれるスリの描写は読み応えバツグン。
そして木崎という男の怖さったら・・・

誰にも本名を明かさず、他人と関わりを持たず、
ひっそりと生きている主人公の前に現れた一人の子供。
母親に万引きを強制され、母親の男に殴られている
少年に対する主人公のクールな関わり方、
そして、子供とは思えない老成と諦念を感じさせる少年。
(「スタンド・バイ・ミー」でリバー・フェニックスが演じた役を思わせる)
この2人の関係がハードボイルドで渋い。
言うまでもなく、少年の母親は存在もキャラクターも醜悪そのもの。

追記:↑少年についてリバー・フェニックスと書いた後で
    「スリングブレイド」の方が近いかも?と思い出した。

'10 5 ★★★★☆
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by gloria-x | 2010-05-10 21:26 | ブックレビュー