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ラスト、コーション/色|戒 '07(中国・台湾・香港・米)

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日本占領下の上海で抗日運動に身を投じた女スパイと、
暗殺対象である特務機関リーダーの禁断の恋の物語。

1940年代の上海が舞台で濡れ場がAV並み、予備知識はこれだけ。
とにかく色っぽいトニーを見たい一心だったので、
前半、愛国心鼓舞のための泥臭い演劇シーンや
抗日運動に燃える垢抜けない大学生たちの暑苦しいテンションに
「えー?こんな映画だったの?」とややうんざり・・・
お目当てのトニーは冒頭でちょろっと登場しただけで、なかなか出てこないし、
延々おあずけ食わされた感でイライラ。
物語的に重要な部分なのはわかるけど前半長すぎ!

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オーディションで選ばれたというタン・ウェイの圧倒的な存在感!
華奢な体型にベビーフェイス、一見おぼこそうなのに実はエロいという
世の男のほとんどが大好きなタイプである。

自分とは正反対のタイプゆえ、苦手な女なのになぜか彼女に目が釘づけ・・・
うまい!そして華がある!
難易度の高い役柄なのに、感情吐露表現も抑えた演技も見事だった。
ぱっちりお目々、ちんまりした鼻、おちょぼ口が
この時代のこってりメイクに映えるし、薄っぺらな体にチャイナドレスが似合う。
(現代劇でもこれだけ存在感があるのだろうか?)

ぎょっとしたのは彼女の黒々とした腋毛!
ノースリーブのチャイナドレスなのに、
この時代の中国女性は無処理だったのだろうか?
あと、貧乳といってもいいのに乳首がビッグで色が濃い!
わざとの演出だろうけどコーヒーカップやグラスに口紅べったりにも時代を感じた。

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トニーはほんとに凄みがあった。
今まではやさぐれた役を演じても、どこかに人の好さが滲み出ていたが、
この役は剃刀のように触れたら危険なオーラがムンムン・・・
使命とはいえ、こんな只者じゃない男に接近したら火傷するわなぁ。

噂の愛欲シーンは、すごいっちゃあすごいけど
映画的にそこだけ浮いてるわけではなくて◎。
とにかくアクロバティックな体位の連続で、
「うわー、これは肉が邪魔してわたしには無理!」
「全体重を相手にかけるって、痩せてるからできるのね」
など、いちいち我が身に置き換えて反応してたのってわたしだけ?

それより、初めて二人が男女の関係になるシーンに仰天!
こんなドSなトニーなんて・・・・
レイプ同然の交わりなのだが、事後、放心状態の中で女がニヤリと笑うのだ。
スパイとしての第一段階突破の会心の笑みなのか、
実は本人も気づかなかったM性の目覚めを自覚しての笑みか・・・

カラダの相性がよすぎて離れられない、というのはわかる。
それまで任務の練習としてのみ男と寝ただけでほとんど処女同然で
いきなり上級者コースを味わえば誰でもしばらくハマるだろう。
しかし、この2人の間にはバツグンの相性があったのだろう。
とはいうものの、冷酷非情な特務機関のリーダーである男が
彼女にここまでハマってしまうのがやや説得力に欠けたような気もする。

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ジョアン・チェンは姉さん女房という設定だったのだろうか?(そうとしか見えない)
トニー扮するイーと彼女の夫婦関係がまた不思議。
「彼は冷え性だから冷たい足をわたしがベッドで暖めてあげるのよ」と
妻がノロケ発言をすると夫はまんざらでもなさそうにニヤニヤしてるし、
夫婦仲が冷え切っている風でもなく、妻も夫の女関係を気にしてる風でもない。
激務を終えて帰宅すれば妻は毎晩のように女友達と麻雀大会なのに、
客人に愛想をふりまくことも忘れず、妻にも気遣いを見せる。
夫としてはけっこう得がたい存在かも?
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ワン・リーホンってメジャーなミュージシャンらしいけど、知らなかった。
初登場シーンから「これ誰?」と気になる存在感。
確かに男前だけど、うーん、ビミョーかなぁ・・・
この役が悪かったかも、とはいえ、この役は適役だったと思う。
彼こそ現代劇で違う役柄で見てみたい。

'08 2 13 劇場 ★★★★★
監督:アン・リー
出演:トニー・レオン、タン・ウェイ、
   ワン・リーホン、ジョアン・チェン

by gloria-x | 2008-02-14 19:38 | 映画レビュー