消し屋A /ヒキタクニオ 文藝春秋

「凶気の桜」を読んだとき、消し屋の三郎という脇役キャラが主役以上に印象的で、
彼を主役にした作品を読みたいとレビューにも書いたら実際に出た!

わたしはヒキタクニオと感性が合うらしい。
映画版「凶気の桜」で三郎を演じたのは江口洋介だったが
わたしは若い頃の成田三樹夫を想像して読んでいたのでどうも不満だった。
すると、本作にこう書かれているではないか!

~ダウンライトの下で見ると若い頃の成田三樹夫の肌質ね。
 いいわよ、掠れて冷たいくせに、しっとりしてるの~

消し屋とは、一人の人間を生きてきた痕跡丸ごと消してしまうプロ。
しかも事件性を残さず、本人の意思で失踪したように見せるのだ。
今回、三郎は新しい戸籍を手に入れ、幸三と名前を変えて
パートナーであるオカマの蘭子と共に博多にやってきた。
そこで依頼された仕事は「福岡ダーエーホークスの名捕手を消せ」
ただし今回は殺しはなし。
いつもとは勝手の違う仕事に天才の技はどう発揮されるのか・・・

幸三はもちろん、蘭子の出番もたっぷりで読み応えあり。
名捕手・真壁誠のキャラも魅力的なので
野球にはまったく興味のないわたしでも楽しめた。
また、食事シーンのディテールに凝っているのもうれしい。
下記のような描写を読むと食べたくなるし、自分でも作りたくなってくる。

~幸三は、豚肩ロースのブロック肉をナツメグ、オレガノなどの香辛料と塩で漬けて
 一週間寝かせ、それを二百度でじっくりとローストしたものをオーブンから取り出した~

~肉を皿に盛り、クレソンを二茎添えた。そしてたっぷりの西洋ワサビとバルサミコ酢
 をステンレスのソースカップに入れ、肉片に寄り添うように皿に載せた~

'04 12 13 5段階評価★★★★
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by Gloria-x | 2004-12-14 20:52 | ブックレビュー