善き人のためのソナタ/DAS LEBEN DER ANDEREN '06(独)

c0008209_20242370.jpg先入観で食わず嫌いはダメとまたもや思い知った作品。
ブラックブックもそうだったけど、
ドイツ映画、戦時下が舞台と聞いただけで
「重そう・・・」「しんどそう・・・」と腰が引けるのだ。
ハゲ頭のおっさんが深刻な顔でヘッドフォンを当てている、
この写真からしていかにも「暗そう・・・」でしょ。
しかもエンターテイメント大作「ブラックブック」と違って
こちらは地味で真面目な作品。
だけど、意を決して観てよかった!
正直、救いのない話だがラストで心が洗われる。

冷戦下の旧東ドイツでは国家保安省(シュタージ)が徹底して国民を監視していた。
反体制的とされた者は逮捕され厳しい尋問を受け、禁固刑が課される。
国家に忠実なヴィースラー大尉は
要注意人物である劇作家ドライマンを監視・盗聴する任務に就くが・・・。

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※この服のデザイン、一昔前のSFの宇宙服みたい・・・

ドライマンと恋人である女優クリスタの生活24時間すべてが盗聴されるのだが、
何時何分に口論した、その後仲直りして2人はセックスしたなど
詳細すぎる報告書の内容に慄然!
冒頭の尋問シーン、尋問対象者の椅子に敷いた布を
臭い収集のため瓶に入れて保存というのもゾーッ・・・
こんな国家、こんな時代に生まれなくてよかった・・・
(現在の日本に生まれてよかったとも思えないけど)

盗聴するうち、徐々に2人にシンパシーを感じ、自身も変化していくヴィースラー。
無味乾燥な私生活を送る彼が、突発的に娼婦を買うのだけど、
その娼婦のフリークスといってもいいような体型に唖然・・・
リアルといえばリアルだけど、
ここはもっと若い細身のコールガールにしたほうが絵的に美しいのはもちろん、
映画的にひっかかりもないと思うのだが、あえての狙いなのか?

そういえば、女優クリスタが大臣の車の中で犯されるシーン、
だらしなく太った大臣の醜い尻と白い下着、
クリスタの体を撫で回す手つきなど、
見慣れたハリウッド映画と比較すると映像的に洗練されていなくて
それがかえってリアルで生々しかった。

「ブラックブック」でナチ将校役だったセバスチャン・コッホが
監視される劇作家ドライマン役。
好みじゃないけど、甘いマスクで苦悩する姿は味があっていい。

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'07 12 WOWOW ★★★★☆
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ 、 マルティナ・ゲデック 、 セバスチャン・コッホ
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by Gloria-x | 2007-12-12 20:29 | 映画レビュー