スリングブレイド/SLING BLADE '96(米)

c0008209_19531125.jpg何度観ても泣ける映画の一本。
そのくせ、押し付けがましい「感動モノ」の
衣をまとっていないところがいい。

実の母親とその不倫相手を惨殺した知的障害者カールは
精神病院を退院し、25年ぶりに故郷の町に帰る。
実の父親にも見捨てられ天涯孤独なカールは、
彼にまったく偏見を持たず、まっすぐに好意を示す
少年フランクと深く心を通わせ、純粋な友情を育てていく。


フランクは母親と二人暮らし。母親は偏見のない温かな女性だが、
男運が悪いというか、男を見る目がなさすぎというか・・・
酒癖が悪く暴力的なろくでなしを家に入り浸らせている。
フランクは精神的には母親やその愛人よりはるかに大人で、
一人の男として母親を守らなければという使命感がある。
しかし現実には彼は子供で、自分の保護者である母親と男の関係を止める力はない。
そして、その精神的な大人度ゆえ、ろくでなしから目の敵にされている。

フランクがカールに母親とその愛人や自殺した父親について、
そして彼らに対する感情を語るときの明晰さ!
カールもまた、知的障害者でありながら物事の本質をクリアに捉えている。
そんな二人の会話はまったくムダというものがなく、
気持ちいいくらいストレートで直球である。
「その喋り方が大好きだ」
「お前の喋り方もいい」
「君は世界でいちばん大事なともだちだ」
「俺も君が大好きだ」
こんな感じ。

こんなこと言ったら誤解されるかも、とか
相手の反応を見ながら、とか一切なし。
まるでテニスの試合のように見事に言葉のボールを打ち合っている。
「共鳴」「共感」とはまさにこのこと。
生の感情をむきだしにして喋るのだけど、
淡々とした演出なので全然恥ずかしくない。

これって、二人の関係が悲しくも短く終わってしまうからこそ、
お互いに無意識の本能的なもので、
ムダを省いて一気に濃密に心を通じ合わせたのかもしれない。

フランクのように賢くて健全な心を持っていても、
環境や大人の勝手な都合といった不可抗力によって
人生を破壊されてしまうことは少なくない。
フランクに自分の人生を重ね、
彼を救うためにカールが下す決断の重さは悲しすぎ・・・

c0008209_2021581.jpgビリー・ボブ・ソーントンを初めて知ったのがこの作品だったので、後に他の映画で観て
「えーっ!ほんとはこんな顔&容姿だったの!」
この変身ぶりはデニーロ以上だ。
その後も彼の出演作はほとんど観ているが、
役柄によってセクシーになったり、薄気味悪くなったり、印象が激変するので毎回楽しみである。
フランク役のルーカス・ブラックもいい!

'07 11 DVD(再鑑賞)★★★★★
監督:ビリー・ボブ・ソーントン
出演:ビリー・ボブ・ソーントン、ルーカス・ブラック
   ドライト・ヨーカム、J・T・ウォルシュ
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by Gloria-x | 2007-11-05 20:06 | 映画レビュー