眠れぬ真珠/石田衣良

誰でもそうなのだろうか?
小説を読むとき、わたしは頭の中でストーリーを映像化している。
そして、登場人物に実在の俳優などをキャスティングしていることが多い。
意識してあてはめているわけではなく、
読んでいるうち自然に特定の人の顔が浮かんでくるのだ。

逗子を舞台にした、45歳の版画家と17歳年下の映像作家のラヴストーリー。
45歳の版画家♀に鈴木京香。
28歳の映像作家♂は日本人なのに、なぜか、
毎週ハマっているN.Yデザイナーズバトル プロジェクトランウェイvol2で
ファイナリスト3人に残ったダニエル・ヴォゾヴィックを思い浮かべて読んだ。
ちなみに、彼の幼馴染の女優には沢尻エリカ。

スタイリッシュな恋愛小説だが、嘘っぽすぎない。
石田衣良は「人間性善説」の人なのだろう。
著者の人柄がにじみ出た(といっても、ベタなハートウォーミングではない)
キャラクター造形や物語に流れる空気が好きだ。
これ、きっとドラマ化されると思う。

男性作家が描く女性像には、同性として好感が持てなかったり
共感できなかったり、どこか嘘臭いキャラクターが多いのが常である。
渡辺淳一作品のヒロインなどその代表で、わたしはいつも
「このヒロイン、絶対に同性の友達いてないやろな」と鼻白んでいる。
若い頃にハマった片岡義男作品のヒロインも
あまりに完璧にかっこよすぎて圧倒されっぱなし。
でも、若かったので「世間にはこんなひといるかもなー」と
自分と比べて勝手に凹んでいた・・・

ところが石田衣良は巧いのだ。
この小説のヒロイン・咲世子は45歳独身。人気のある版画家で、
親が遺してくれた逗子の一軒家にアフガンハウンドと一緒に住んでいる。
仕事が一段落すると、黒いフォルクスワーゲンポロを運転して
海辺のおしゃれなカフェに夜食を食べに行く。
かなりかっこいい女性である。

石田衣良はそのかっこよさが嫌味にならない微妙なバランスを心得ている。

ヒロインは45歳だが36~7歳に見える美人という設定。
黒木瞳や川島なおみではなく、
鈴木京香を思い浮かべさせるところに石田衣良の巧さがあると思う。

更年期障害の辛さや、若い恋人を前にして中年の肉体を恥じる感覚、
服や化粧、ライフスタイルについての考え方など
女性心理の描き方がきめ細かく、
ちゃんと血が通った生身の女という感じで好感がもてる。

28歳の映像作家・素樹のキャラクターもいい。
年下男好きの女性にとっての理想ともいえる
「純粋さ」「誠実さ」「ひたむきさ」を備えていて魅力的だ。
でも、年下好きとはいえ、さすがにわたしは17歳下はムリですな・・・・
まあ、この小説のヒロインみたいにかっこよけりゃアリかもしれないけどねー。

’07 10 ★★★★☆
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by Gloria-x | 2007-10-11 17:09 | ブックレビュー