ミッドナイト・エクスプレス/Midnight Express '78(英)

c0008209_16553614.jpgアメリカ人観光客の若者がハシシを持ち出そうとしてトルコ政府に逮捕・投獄。30年の刑を宣告される。想像を絶する過酷な環境の中で廃人同様になりながら、偶然のチャンスで脱獄に成功するという実話を元にした作品。

何年ぶりかに最鑑賞。
前夜に「ショーシャンクの空に」を再鑑賞し、偶然にも過酷な刑務所生活→脱獄という2作品(しかも映画史に残る名作)を観比べることができた。

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初めて観た時は断然「ミッドナイト・・・」のインパクトが強烈だった。
トルコの刑務所の、誇張されているとはいえ野蛮で不潔で無秩序な環境や拷問、言葉もわからない異国での先が見えない恐怖。
映像のエキゾチックさも相まって長年鮮烈に焼きついていた。


ところが、今回続けて見比べてみると、
「ショーシャンク・・・」の文明社会で徹底的に管理された刑務所における主人公デュフレーンの境遇の方がひしひしと恐ろしさが身に沁みた。
無実の罪で20年くらい(?)服役した主人公が、自らの緻密な計算と地道な努力、大胆な行動力によって自由を手に入れる。
脇役である囚人たちのキャラクター設定も見事で、特に瞠目したのが年月に合わせて囚人たちが歳を取っていく自然さ!中盤、デュフレーンの無実の鍵を握る若者が新入りとして入ってきた際、それまで血気盛んな若い奴というポジションだったヘンドリックスなどが実はけっこう老けていることがわかる。ヘア・メイク技術もさることながら、俳優たちの演技力の高さに感心した。
希望を持ち続けろというメッセージ性もダイレクトに伝わるし、ラストシーンの爽快感もひときわで、映画としての完成度の高さを再確認した。

一方「ミッドナイト・・・」はなんといってもヘイズが自らの軽率な行動で招いたことで主人公への共感を弱めるのが残念。捕まった直後の取調べでは明らかに事の重大さを認識していないし、アメリカ人特有の、自国以外を見下す態度も鼻につく。
さらに、今回観なおして刑務所の環境の自由度が高いことに驚いた。労働もなく私服でブラブラしたり、なんとなくヒッピー村の共同生活という趣すらある。
実話ベースとはいえ、当時のアメリカとトルコの関係もあって、トルコという国の描き方にかなり誇張が入っているのがわかる。
また、「終身刑」求刑、やりなおし裁判で「30年の刑確定」というムチャクチャな数字の印象が強いが、実際には5年で脱獄しているのだ。

重箱の隅をつつくようなことばかり書いたが、アラン・パーカーは好きな監督だし、この作品に圧倒的な力があることはいうまでもない。
そして、あっけなすぎると言えなくもないが、自由な世界へ解き放たれた喜びを全身で表現したラストシーンは文句のつけようがない。

'07 9 DVD(再鑑賞) ★★★★☆ 
監督:アラン・パーカー
出演:ブラッド・ディヴィス、ランディ・クエイド、ジョン・ハート
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by Gloria-x | 2007-09-20 17:00 | 映画レビュー