リトル・ミス・サンシャイン/LITTLE MISS SUNSHINE '06(米)

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アリゾナに住む少女オリーヴの夢はミスコン女王。
ビデオで受賞シーンを繰り返しスロー再生しては
クイーンが受賞した瞬間の表情研究に余念がない。
これだけ聞くと、ジョンベネちゃんみたいに妙に早熟な子供を想像するが、
オリーヴはぽっちゃり&メガネっ娘で、はっきり言ってミスコンとは縁遠いタイプ。
そのオリーブが繰り上げ当選で美少女コンテストへの出場権を獲得し、
一家総出でカリフォルニアをめざす。

独自のあやしげな成功論をふりかざす甲斐性なしの父親、
家族も他人も嫌うあまり9ケ月も沈黙を貫く兄、
老人ホームを追い出され、隠れてドラッグを常用する祖父、
そこに失恋で自殺を図ったうつ病の叔父(母の弟)が身を寄せる。
フーヴァー家のメンバーを紹介する導入部のムードはストレス満点。
唯一、オリーヴが天真爛漫で家族の誰からも愛されているのが救いだ。

ぽっちゃり&メガネっ娘のオリーヴが
繰り上げとはいえ美少女コンテスト出場権を得たのも「?」だが、
ミスコン女王に憧れる⇒自分も出たい⇒応募する
というコンプレックスと無縁の心理&勇気に感心する。
旅の途中、急に自信をなくすオリーヴに祖父が言う。
「おまえは世界一美しい女の子だ。身も心も美しいよ!」
嘘でもいいから家族にこう言われて育つ女の子はしあわせだ。
実際のルックスがどうあれ、
根っこのところで自分に自信が持てて人生が楽になると思う。

一家がおんぼろバスに乗って旅が始まってから
よくも悪くも話が転がって風通しがよくなる。
破天荒な家族が一台の車で旅を続けるうちに、
それぞれの抱える問題が膿を出すように問題が続出するが、
皮肉っぽく突き放した感じの乾いたユーモアセンスがいい。

いろいろあった末に会場のホテルに到着すると
コンテスト会場はジョンベネタイプのませガキだらけ!
バービー人形かはたまた小型版ミスコン女王か、
人工的な笑顔と決めポーズで媚態を見せる少女たちの中で
ただ突っ立つだけのオリーヴは浮きまくり・・・
そしてクライマックス、祖父が振り付け担当したオリーヴのダンスに仰天!

ここまであえてトニ・コレット扮する母親には触れなかったのだが、
冷静に観ると彼女のキャラクターには言いたいことだらけだ。
仕事と家事をこなし、何事にも動じない風情で
問題だらけの家族の世話をする母親は健気で好印象だが、
辛辣な見方をすれば問題に目をそむけて
健全な家庭のふりをしているともとれる。

娘の「美少女コンテスト」出場に一家で同行するほどなのに、
本番まで肝心のダンスや衣装に無関心で、
問題人物の祖父にまかせっぱなしなのが解せない。
百歩譲ってコンテストのことを「学芸会に毛の生えた可愛らしいもの」と
思い込んでいた素朴な人物だったとしても、
会場入りして他の出場者たちを見れば「しまった!」と思うのが普通。
それなのに、彼女は慌てるでも気後れするでもなく、
無邪気に娘の髪をとかしてあげるのだ。

この鈍感さには恐れ入る・・・女性としてはどうよ?
まあ、だからこそあの家族をまとめてこれたんだろうけど。

ともあれ、映画としてはおもしろく後味もさわやかで◎

'07 8 DVD ★★★★☆
監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
出演:アビゲイル・ブレスリン、グレッグ・ギニア、トニ・コレット
   アラン・アーキン、スティーブ・カレル、ポール・ダノ
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by Gloria-x | 2007-08-16 12:09 | 映画レビュー