ボビー/BOBBY '06(米)

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ロバート・ケネディが暗殺された'68年6月5日の夜、
アンバサダーホテルに居合わせた人々の人生を断片的に描きながら、
運命の瞬間に向かって展開する群像劇。

作品中、アンソニーホプキンス演じる引退したドアマンのセリフにも
「グランドホテル」が登場するが、このスタイルの群像劇は好きなジャンルだ。
エミリオ・エステヴェス、ちょっと見ない間にますます父親そっくりになっていたが
脚本・監督の才能もあったのねー。
群像劇そのものとしては前半やや性急、中盤中だるみと物足りない印象だが、
ラスト15分の緊張感からRFKが訴え続けたメッセージにつなげる手腕は見事。

「JFK」「マルコムX」のようにRFKを主人公に据えず、
本人の実写フィルムとスピーチの声のみ。
主な登場人物はRFKと直接的に関わりのない、
ほとんどが偶然その場に居合わせた人々。
彼らの様々な人生をスケッチしながら、人種差別問題、ベトナム反戦運動、ドラッグ、
結婚と不倫にまつわる問題など'68年当時を多面的に描くアイデアが秀逸だ。
事件そのものとは無関係なエピソードの積み重ねが
RFK暗殺の瞬間に収束していくことで、その後のスピーチが心に深く響いてくる。
バックに流れるサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」がいい。
広島原爆投下の前日の庶民の生活を描くことで
原爆の恐怖を際立たせた日本映画を思い出した。

キャスト陣は名前を書ききれないほど豪華な顔ぶれだが、
わたしはホテル支配人の妻で美容師役のシャロン・ストーンに最も注目。
もともと好きな女優だが、
この作品のシャロンは日本の女優でいうと余貴美子である。
ちょっと人生に疲れた、それでいて人間味のある、
通好みの色気漂う大人の女で、いい味を出しているのだ。

メキシコ人の厨房下働き青年を演じるフレディ・ロドリゲスもよかった。
この人「ポセイドン」ですぐに死んでしまうウェイター役だったそう。
話はそれるが「ポセイドン」のあの部分は
人種差別&階級差別のダブル差別で大問題だと思うのだが
問題にもならない感じでサラーッと流れていったので
よけい理不尽さがクローズアップされて後味が悪かったものである・・・。
彼とローレンス・フィッシュバーン、クリスチャン・スレイターのエピソードが
物語の柱らしくメリハリがあってよかった。

デミ・ムーアって松田聖子に合い通じるものを感じるんだけど同い年では?
あいかわらず年齢を感じさせない若さと美貌で存在感あり。
この人、いろんな意味で強烈なのに黒髪&黒目で得してると思う。
これがブロンド&ブルーアイズだったらもっと早く消えてただろう。
驚いたのはデミの髪の量の多さ!地毛で日本髪結えるのではないだろうか・・・

ヘレン・ハントって正直キレイだと思わないんだけどなー。
演技達者なのは認めるけど、美人的な役柄が多いのが納得いかない。
このモヤモヤ感はメリル・ストリープに感じるものと似ている。
この役は別に他の人でもよかった気がする。

リンジー・ローハンは「とくダネ!」のハリウッドゴシップコーナーでしか
観たことがなかったけど、フレッシュで可愛く演技もよかった。

イライジャ・ウッドって人気はあるみたいだけど、
わたしは子役の時からどこがいいのかまったくわからないのよねー。
この役は妙に深刻な表情で、若い頃の仲代達也に似てると思った。

クリスチャン・スレイター、もうすっかりただのオヤジ・・・
「忘れられない人」は奇跡の一本だった気がする。

RFK選挙スタッフの一人を演じるニック・キャノンも注目株。
デンゼル・ワシントンの息子では?と思ったほど将来が楽しみ。

'07 8 DVD ★★★★☆
監督:エミリオ・エステヴェス
出演:アンソニー・ホプキンス、シャロン・ストーン、デミ・ムーア
   ウィリアム・H・メイシー、ヘレン・ハント、マーティン・シーン
   フレディ・ロドリゲス、ローレンス・フィッシュバーン、
   リンジー・ローハン、アシュトン・カッチャー、
   ヘザー・グラハム、ハリー・ベラフォンテ、クリスチャン・スレイター
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by Gloria-x | 2007-08-10 21:29 | 映画レビュー