あるスキャンダルの覚え書き/Notes on a Scandal '06(英)

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孤独な老教師が魅力的な人妻教師との間に結んだ
嫉妬と支配と憎悪の関係。

飼い猫を溺愛し、クリーニング屋へ行くくらいしか週末の予定がなく、
孤独のあまり辛辣な視線で他人を観察して毎晩欠かさず日記を書く。
ジュディ・デンチ扮する老教師は新任の美人教師と親しくなるや、
急速に関係を深めようとし、束縛するため相手の弱味さえ利用する。

こういう粘着質の女って確かにいる!
わたしも今までの人生で、ここまでシリアスではないが
じわじわと執着と束縛の気配を感じたことがある。
わたしは人一倍、ひとりの気ままさを愛する自由人(水星人+)で、
「寂しい」と思うことがほとんどないという性質なので、
少しでも束縛や執着の気配を感じるともうダメ。
真夏に湿った毛布でくるまれたようにうっとうしく息苦しく、
とっとと逃げ出してしまうのだ。


さらに、精神的縛りだけでなく、ジュディ・デンチのように
レズっ気を含んだ肉体的接触を求められるなんて言語道断!
腕を組んだり、手をつないだり、じゃれて触ったり、
話すときに近すぎる人も苦手・・・
男ならいいがいくら仲良しでも女のボディタッチは生理的にNGだ。

ババア呼ばわりされるジュディ・デンチはさすがの貫禄。
しかし、彼女の佇まいがあまりにも凛としているため、
辛口な視点で周囲の人間を批評する生活を、
自嘲もこめながらも淡々と楽しんでいるようにさえ見えて、
あまり悲哀が感じられなかったのがやや残念。
ジュディなら、もっと凄みのある孤独や業を演じられたはずなのに・・・

ケイト・ブランシェットはフワフワと生活感のない人妻教師。
元は自分の教師だった歳の離れた夫と略奪婚し、
ティーンエイジャーの娘とダウン症の息子を育てている。
親から相続したという家には離れに自分専用のアトリエがあり、
息子に手がかかるとはいえ、家族での食卓にはワインを開ける。

この役であらためてケイトの美しさを実感。
個人的には「バンディッツ」の奔放な赤毛美女が好みだが、
いろんなタイプの女を演じ、どの役も実像に近いのでは?と
思わせるのはさすがだ。

しかし、ケイト扮するシーバの抱える問題とやらがどうも曖昧。
夫は大学で教えるかたわら小説を書くという職業柄、
ちょっと浮世離れした風情があり、
演じるのがビル・ナイだからか、歳は取っていてもまだまだ魅力的。
なので、彼女が実生活に悩みや不満を抱えているというのがピンとこない。

さらに、ケイトが関係を持つ15歳の少年がイマイチ。
最初の登場シーンで、サッカーのゴールを決め、
シャツを脱いで走り回る姿は、
一瞬デビュー当初のデカプリオみたいで「おっ!」と期待したが、
アップになるとあまり品のない顔立ちだし、華がない。
ケイトみたいな女が衝動的にせよ肉体関係を(しかも何度も!)
持つ相手としては説得力がなさすぎなのだ。

あと、これを言っちゃうと映画そのものが成り立たないんだけど、
ケイトみたいなタイプの30代女性がジュディほど年上の職場の先輩と
あそこまで親しくなるかなー?と疑問を感じた。
欧米では日本ほど年齢を気にせず人付き合いをするらしいから
これは日本人ならではの違和感かも。

いろいろマイナス点ばかりあげつらったが、
2大女優の演技合戦は期待どおり見ごたえあり。
それより、わたしは
ビル・ナイ×ケイトの
迫真の夫婦喧嘩シーンが印象的でこちらに軍配を上げたい。


'07 6 27 劇場 ★★★☆☆
監督:リチャード・エアー
出演:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ
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by Gloria-x | 2007-06-29 20:40 | 映画レビュー