クィーン/The Queen '06(英・仏・伊)

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子供の頃「1000日のアン」という映画を観た。
ヘンリー8世がアン・ブリンという娘に惚れる。
王妃と離婚してアンを妻にしたいが、
当時の英国はカトリックで離婚は許されない。
そこでヘンリー8世は新たに英国国教会を作り、強引に再婚する。
しかしアンとの間に王子は生まれず、
彼女にも飽きてきた好色なヘンリー8世は
アンに姦通罪の濡れ衣を着せて断頭台へ送る。
歴史と伝統に裏打ちされた由緒正しきムードを漂わせているわりに
王室の実態はドロドロなんだなぁとインパクトが強い映画だった。

「1000日のアン」も観直したくなったし、
英国王室史上最も悪名高いリチャード3世をモチーフにした
歴史ミステリー小説、ジョセフィン・ティの「時の娘」も再読したくなった。
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さて本題。こちらはダイアナ元王妃が不慮の事故で死んだ週の
王室と英国をエリザベス女王を中心に描いている。

ダイアナ元王妃が亡くなった日、
わたしは友人たちとフリーマーケットに出店していて
会場に流れていたFMのニュースで事故の第一報を聞いた。
真夏のように暑い日で、うなじの日焼けがなかなか白く戻らず困った。
たぶんわたしはこの日を一生忘れないだろう。

しかし、世界中に熱狂的ファン持つダイアナについては
「なんか大味な感じの女だなー」とまったく興味がなかったので
突然の事故死は気の毒だと思うけれど、
花束やプレゼントを供えて号泣する人たちの心境はさっぱりわからない。
なので、この映画の中でエジンバラ公が苦々しげにつぶやく
「どうして会ったこともない人間の死にあんなに大騒ぎできるんだ?」に共感。

ヘレン・ミレンがよかったのは言うまでもない。
思い煩う日々、ふと出会った大鹿の
凛とした美しい姿に見惚れるシーンがよかった。
女王は孤高の鹿に自分を重ねたのだろうか。
エリザベス女王的にはこの映画がずいぶんイメージアップになったのでは?
ところで、私有地とはいえ高齢の女王がボディガードもなしに
自分で四駆を運転して川を渡ることに驚き!
日本の皇室では絶対に考えられないことだろう。
やっぱり狩猟民族、肉食民族なんだなーと妙に感心。

こじんまりした居間で皇太后、女王、エジンバラ公が
TVのニュースを観ながらダイアナについてあれこれ言いあう。
そこへチャールズが入ってきて加わり、エジンバラ公が
「ギャーギャーわめくからニュースが聞こえん」と出て行く。
この意外なお茶の間感覚!
ブレアの家も労働党の首相だからなのか、
そこらのサラリーマン家庭みたいに庶民的でびっくり。
「ラヴ・アクチュアリー」の首相を取り巻く環境も
妙にちゃちだったけど、イギリスって案外こうなのだろうか?

エジンバラ公を演じるジェームズ・クロムウェルはL.A生まれの米国人なのに
英国人以上に英国人っぽく、タータンやツイードが似合うこと!
女王である妻がいろいろ大変なのに、孫たちを連れて鹿撃ち三昧だったり、
「お茶が冷めてしまったじゃないか」とぶつくさ言ったり、気楽そうである。
夫婦でベッドに入って寝る前、
エジンバラ公が女王に「おやすみキャベツちゃん」と言うのだが、
毎日ファニーな呼び名を多用している
わたしとダーリンみたいで思わず笑ってしまった。

'07 5 9 劇場 ★★★☆☆
監督:ウティーブン・フリアーズ
出演:ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェイムズ・クロムウェル
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by Gloria-x | 2007-05-13 22:32 | 映画レビュー