もしかして聖人 SAINT MAYBE/アン・タイラー

アン・タイラーの小説は何度読んでもいい。
国や人種を超えて普遍的な「家族」のことがテーマなので
読んだ時の自分の年齢や状況で感じ方が変化するのも魅力だ。

とっつきやすい文体で、読み始めるとすぐに引きこまれ、
どこにでもいそうな登場人物のなにげない日常を描いているようで、
展開はある意味とてもスリリングで、メッセージは奥深い味わいがある。

ベドロウ家はTVのホームドラマの家族のように
自他共に認める理想的な家族だった。
高校フットボールチームのキャプテンで人気者だった長男ダニーが
2人の子持ちでバツイチのルーシーと電撃結婚するまでは・・・
ダニーとルーシーの間に「早産で」生まれた赤ん坊を見て
ダニーの弟で17歳のイアンはある疑惑を抱く。
イアンが発した一言がダニーの死につながり、
やがては家族やイアン自身の人生も狂わせていくのだが・・・

日本語に翻訳されているものは全部読んでいるが、これは特に好きな作品。
アメリカの普通の家族の話なのに、不思議なほど共感を覚える箇所が満載。
子供が成長し、親が歳を取ると共に変化していく「家族」。
時にやっかいで忌まわしかったり、大事に思えたりし、
一筋縄ではいなかい「家族」という存在に対する
複雑な感情の描写が見事である。

'07 1 ★★★★★(再読)
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by Gloria-x | 2007-01-08 21:37 | ブックレビュー