コルセット/姫野カオルコ

美しく、シックで官能的な小説。

ロンド形式に4つの話が収録され、すべて一人称語りで主人公が代わる。
各話の主役で語り手だった人物は、別の話では脇役になる。
第一話のラストシーンが第二話の冒頭シーンにつながり、
第二話のラストシーンが第三話の冒頭シーンに・・・・

もしこの小説の著者が小池真理子や故・森瑤子だったとしたら、
鼻につくというか、著者にそのつもりはなくても、
著者が登場人物に自身を投影しているような気配を感じて
叶姉妹の私生活(あくまでも彼女たちが私生活と呼ぶところの)の
話をバラエティ番組で聞かされている気分になるような気がする。

著者はあとがきでこう書いている。
~この小説における「わたし」という一人称ほど三人称を感じたケースはない~
~まったく自分とは異なる環境に暮らし、自分とは異なる性質の人間~

だから純粋に「美しく、シックで官能的」なのだと思う。
この小説の著者は姫野カオルコだからこそ
100%虚構の世界の中で安心して
緊張感漂う硬質な筆致や、独特の心理描写を堪能できるのだ。

~女の人の半分は、自分が女であるというだけで、自分の肉体を、
 男に「あげる」と感覚できるように成長する。
 彼女の美醜とは無関係に。
 あとの半分の女はそうは感覚しない。感覚できない。~


わたしが姫野カオルコ作品を好きなのはこのリアルな感覚だ。
これをリアルだと感じるわたしは、もちろん後者の女である。

'06 12 ★★★★★
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by Gloria-x | 2006-12-24 18:12 | ブックレビュー