歓びを歌にのせて/ Sa Som I Himmelen '04(スウェーデン)

c0008209_18201415.jpg本国スウェーデンで大ヒット
2005年アカデミー賞
外国語映画賞にもノミネートされた作品。

身体を壊し心も疲れ果てて故郷の小さな村に戻った世界的に有名なな指揮者が
教会の聖歌隊の指導を通じて村人たちと交流を深めるうちに愛にめざめ、再び音楽の歓びを呼び覚していく。

映画全体としては悪くないんだけど、
132分延々引っ張っておいて、あのラストは「そりゃないよ~!」
教える側と教わる側、最初はぎくしゃくしていた者たちが
音楽を通じて心が通じ合い、感動的で爽やかな結末に・・・
という映画は「陽のあたる教室」「ミュージック・オブ・ハート」
「ブラス!」「天使にラヴソングを」etc・・・数多くあるが、
この映画は「感動的で爽やかな結末」というお約束を完全に無視。
別にそれ自体はいいんだけど、無視の仕方が不器用というか、
映像的にも唐突だし物語としてカタルシスがないので後味が悪い。
(とってつけたように美しいイメージ映像付けてるけど)

わたしがハリウッド映画の定石に慣れすぎてるというのを差し引いても、
この映画のトーンやムードから考えてあのラストは違和感ありすぎ。
ラストで主人公が死ぬのはいいとしても、あの死に方ってねぇ・・・

ここからはネタバレ&ツッコミ満載で観てない方にはなんのことやらさっぱりですが、
だいたい、コンクール出場のためにスウェーデンの片田舎からウィーンまで
はるばるやってきたのに、コンクールが始まる直前に
浮かれて自転車で街を走り回っている主人公ってどうよ?
(しかもプロ中のプロの音楽家のくせに)
まあ、その前に人生が激変するようなメイクラヴをしたから舞い上がってしまったのかもしれないが、あそこで急に心臓発作が起きるのはご都合主義的で変。

心臓を悪くして引退同然で故郷に引っ込んだのに、
村の聖歌隊の指導を引き受けたことで
人間関係のトラブルに巻き込まれてストレスいっぱいだわ、
自転車で走り回って冷たい川で泳ぐわ、
聖歌隊メンバーのDV夫に殴られて死にかけるわ、
そんな日々で一度もなんともなかった心臓が、セックスしたとたん急に悪くなる?
よっぽど激しいセックスだったのかしらねぇ?

鈍感なわたしでも主人公につきまとう不穏な悲劇ムードは感じていたので
薄々「死ぬかもな」とは思っていた。
途中、DV夫に撃たれるのかもと思ったが、その展開は映画的にありえないので却下。
でも、実際のラストもそれに順ずるくらいミスマッチだ。

DV夫に虐待される妻が、村のコンサートで「自分の人生を生きる」的な歌を歌い、
その足で夫と別れるかと思いきや、またいつも通り殴られてたり、
食事の席で「小学校の時から好きだった」と素同級生の老人に告白された
老婦人の反応とか、牧師の妻の宗教観と彼らの夫婦関係とか、
ふだんの物差しで観ていると「え~?」とビミョーなズレを感じることが多々あったが
各キャラクターの人物像を必要以上に複雑にしていないところはよかった。

純粋なのに尻軽なレナを演じた女優の顔、不思議な味があっていい。
レナの言動はけっこう臭くて、一歩間違えば同性観客の反感を買いそうだが
そう感じさせないところがすごい。
そういえば、レナ的に見てもあの結末は最悪で可哀相すぎ。

'06 12 13 WOWOW ★★★☆☆
監督:ケイ・ポラック
出演:ミカエル・ニュークヴィスト、フリーダ・ハルグレン
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by Gloria-x | 2006-12-14 18:45 | 映画レビュー