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べっぴんぢごく/岩井志麻子

美女と醜女が交互に生まれる女系家族の憎悪の歴史を描いた暗黒大河小説。

岡山の北の寒村に流れ着いた乞食の母娘。
母親が惨殺され、娘シヲは村一番の分限者の屋敷の養女となる。
ボロを脱がせて垢を落とすと、シヲは誰もが目を瞠る美形だった。

「ぼっけえべっぴん」と賞されたシヲだったが、
彼女が生んだ娘・ふみ枝は「牛蛙」と陰で笑われる醜女。
そして、ふみ枝が生んだ小夜子は男を狂わせる妖艶な美少女。

岩井志麻子の本領発揮という作品。
今まで読んだ中で最も完成度が高く読みごたえがあった。
「美女と醜女が交互に生まれる呪われた家系」という発想が素晴らしい。
どろどろした女の性、男女の愛憎を描きながらも
不思議に陰湿ではなくカラリとした空気を感じるのは著者の人柄か。
黒焦げ美人事件のもうひとつの真相が明かされているのも嬉しい。

'06 11 ★★★★☆

by Gloria-x | 2006-11-22 00:13 | ブックレビュー