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僕のスウィング/SWING '02(仏)

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夏休みを田舎の祖母の家で過ごす10歳のマックスはマヌーシュ
(フランス北部、ベルギー、オランダに住むジプシーの通称)
のスウィングギターに魅せられ、彼らの居住地区を訪ねる。
そこで出会ったのは黒い瞳が印象的な、男の子のような少女スウィングだった。

マックスとスウィング(新聞広告で選ばれた素人だとか)の計算や演技臭さのない表情を
ドキュメンタリー風のカメラが効果的にとらえている。
特にマックスの可愛いこと!あんな息子欲しい~
明るくサラサラした髪、鼻に散ったそばかす、まぶしそうな目の表情、
アメリカンボーイよりあっさり味なのがまたいい。
スウィングも美少女なのに媚びやコケットリーなムードがなく好感持てる。
彼らは性別を意識せず、仔犬がじゃれるみたいに遊びながら
ほのかな恋心を芽生えさせていくが、よくありがちなためらいながらキスしたり
見つめあったり、という臭い演出がいっさいないのが潔かった。
ジョン・エヴァレット・ミレー描く「オフェーリア」の川を思わせるような
典型的なヨーロッパの田舎の風景も美しい。

ラストは意外!いわゆる「純文学」的というか・・・
別れのとき、マックスはスウィングに自分の日記を渡す。
しかしスウィングは字が読めないのだ。
「これを読むために文字を勉強し、彼女はジプシー社会から外へ出て行くのね」
なんてぼんやり考えていたのだが、甘ちゃんでしたね、わたしは。
これってハリウッド的上昇志向によるエンターテイメント思考なんだろうなぁ・・・
余談だがマックスの母親がけっこう存在感あって、
この母子に焦点を当ててもう一本映画できそう。
ウディ・アレンの「ギター弾きの恋」がきっかけでジャンゴ・ラインハルトにハマったので
全編に流れるマヌーシュ・ギターが心地いい。
ミラルド役のチャボロ・シュミットはジャンゴの後継者だとか。
でも、セッション風になるとやや濃厚&土着的すぎかも・・・
元祖ジャンゴの洗練&軽妙味の魅力を再確認した。

'04 2 27 WOWOW 5段階評価★★★★
監督:トニー・ガトリフ
出演:オスカー・コップ、ルー・レッシュ、チャボロ・シュミット、マンディーノ・ラインハルト

by Gloria-x | 2004-12-09 00:49 | 映画レビュー