楽園の眠り/馳星周

TVで子供の虐待死の報道を目にしない日はないといってもいいほど。

それを観るたび心底不思議に思うのだが、
どうしてそんなに気安く子供を作るのだろう?
避妊の知識がないわけでも、中絶が禁止されているわけでもないのに
どうして一歩立ち止まって考えないのだろう?ほんとうに謎だ。


妻に逃げられ、その苛立ちを5歳の息子への虐待に向ける刑事。
託児所から逃げ出した彼の息子が
深夜の街で出会ったのは一人の女子高生。
彼女もまた、父親が暴力で支配する家庭から脱走した被害者だった。
幼児虐待、援助交際、出会い系サイト、
時代のキーワード満載のスリリングな長編。

~なぜ子供を作ろうと思う前に自分を省みなかったのだろう。
子供を作ったその先に待ち受けているものに
思いを馳せることができなかったのだろう。
自分に父親の資格があるかどうか考えてみたこともなかった。
ただ子供がほしかった。
結婚の証が、自分が一人前になったのだという証がほしかった。
子供は無条件に可愛いのだろうと思い込んできた。
子供にも人格があることなど考えもしなかった。
ほしかったのは愛くるしい動く人形だったのだ。~

チラッとでも子供がほしいと思う気持ちがある人は
全員こういうことを真剣に熟考して、
子供がいる生活を細部まで入念に
シミュレーションしてから作るべきだと思う。

刑事の追跡を素人とは思えない機転でかわす女子高生に肩入れして、
永遠に逃げ切ってほしいと思いつつ読んでしまう。
刑事が出会い系サイトで知り合う人妻のキャラがうっとうしい!
男にすれば暗くてちょっと危ない色気があるのかもしれないが
隠花植物のツルがからみつくように、
気がついたときにはがんじがらめにされてるようなタイプだ。

お約束どおり救いのない結末は大人たちには自業自得。

'06 8 ★★★☆☆
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by Gloria-x | 2006-08-22 20:17 | ブックレビュー