殺人の門/東野圭吾

歯科医の一人息子として裕福な家庭に育った田島和幸。
しかし、祖母の死をきっかけに一家は離散。
坂を転がり落ちるように不幸になっていく和幸の
人生の節目にはいつも小学校時代の同級生・倉持修がいた。

倉持は言葉巧みに人を丸め込む才能に長け、
和幸をネズミ講のサクラ役や、怪しげな投資会社に勧誘する。
何度も倉持と縁を切ろうとする和幸だが、なぜかうまく言いくるめられる。
やがて、とんでもない女と結婚させられ、借金地獄に落とされた和幸は
ついに倉持を殺そうとするのだが・・・


東野圭吾はストーリテラーなので物語にはすごく引き込まれるが
登場人物のキャラクター造型がステレオタイプ
というか、
いまひとつ魅力に欠ける気がして、実はあまり食指がわかない。
(と毎回言いつつ、読めばそれなりに楽しんでいるけど・・・)
本作は「豊田商事事件」など実際の詐欺事件を
モチーフにしていてなかなか読みごたえがあった。

生まれながらの詐欺師・倉持の果てしない悪意と、
それに翻弄され不幸のどん底に落ちていく主人公。
主人公の一人称で描かれていて、
その不幸の連続に最初は同情的な視点で読んでいるが、
途中から主人公のあまりのバカさ加減に呆れて失笑すらしてしまう。

東野圭吾作品を読んでいるといつも
登場人物にあまり寄り添って書いていない印象を受けるのだが、
本作ではその突き放したスタンスが生きていたと思う。

'06 7 ★★★★☆
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by Gloria-x | 2006-08-08 18:11 | ブックレビュー