東京物語/ 奥田英朗 集英社

舞台は’80年代。名古屋から東京へ上京、
大学中退後コピーライターとして小さな広告会社に就職し、
バブル時代にフリーランスになる主人公の青春を描いた
(たぶん)著者の自伝的連作短編集。

キャンディーズの解散コンサート、ジョン・レノンが射殺された日、
コピーライターがかっこいいカタカナ職業の代表だった時代、
映画「ゴーストバスターズ」や「ブラックレイン」のヒット、
空間プロデューサーという得体の知れない人種がもてはやされた
バブル期の異常な景気のよさ、昭和天皇崩御、ベルリンの壁崩壊、・・・・

全部リアルタイムで体験してきた時代であり、
わたし自身も広告の世界にあこがれてコピーライターになった
80年代の若者だったので、なつかしさと気恥ずかしさを覚えながら
とても感情移入して読んだ。
80年代って今振り返ると良くも悪くもものすごくパワフルで、
日本が大きく変化した時代だったんだなとしみじみわかる。

携帯電話もメールもなかったあの頃、原稿用紙に手書きでコピーを書き、
クライアントまで届けていたっけ(隔世の感がある)
'89年、もうすぐ30歳になろうとし、もう若者ではないことを自覚しつつ
「まだ何かになろうとしている」主人公にシンパシーを感じた。

'05 1 ★★★★★
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by Gloria-x | 2005-01-25 13:58 | ブックレビュー