愛の神・エロス/eros '04(米・伊・仏・中)

c0008209_193033100.jpgウォン・カーウァイ、スティーブン・ソダーバーグ、
ミケランジェロ・アントニオーニ、
3人の監督によるオムニバス。

ちゃんとした映画ファンからのお叱り覚悟で
「カーウァイ作品以外は観なくていい、
いや観ないほうがいい」と断言したい。

カーウァイ作品が一本目なので、あと二作を観ることで
せっかくの陶酔が薄れてしまうから。
なので★5もカーウァイ作品のみの評価。

「The Hand」
監督:ウォン・カーウァイ、出演:コン・リー、チャン・チェン

'60年代の香港。美しく驕慢な高級娼婦とウブな仕立て屋見習い。
家に呼びつけられ、壁一枚隔てた場所で同衾の声を聴かされたかと思えば
若い男の正常な肉体反応を見透かされて羞恥と困惑の淵に追い詰められる。
そしていきなり犯されるのだ。しかも手で!
驚愕、苦痛、そして快楽から哀切へと変化するチャン・チェンの表情がいい。
やがて男はペーペーの見習いから一人前の職人に成長し、
対照的に女は坂を転がり落ちるように落ちぶれていく。
そこから始まる男の愛が哀しくも美しい。
コン・リーはさすがの貫禄。この短かさで女の一生を見事に演じ
作品に厚みを与えている。
雨の路地裏、安ホテル、美しいチャイナドレス、一歩間違えば悪趣味なインテリア、 
気怠く官能的な音楽、からみあう視線と少ないセリフ etc・・・
カーウァイファンの大好物がぎゅっと凝縮された濃密な極上の一品。

「Equebulium」
監督:スティーヴン・ソダーバーグ、出演:ロバート・ダウニーJr.、アラン・アーキン

ソダーバーグは巨匠アントニオーニとカーウァイとの競作で
肩に力が入りすぎちゃった、って感じ?
心理学的に意味ありげな小道具をちりばめてはいるけれど、
共通テーマは「エロス」なのに「どこがエロス?」って内容だし・・・
ソダーバーグ、はっきり言ってわたしはダメだ。
「オーシャンズ11」が超駄作だったし、
「エリン・ブロコヴィッチ」はよかったけど、あれは結局は実話の力だったのかも。

「The Dengerous Thread of Things」
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ

アントニオーニ、イタリア映画の巨匠ということは知っているけど、
難解で退屈で意味不明な純文学映画とでも言いましょうか・・・
(昔、マルコヴィッチとソフィー・マルソー主演の超退屈な作品を観たことを思い出した。
あれもわけわからんかった)
しかも「エロス」の表現が古臭くてピントがズレてる。
自然の風景だけは皮肉なほど美しいけど、
登場人物たちの関係や置かれた状況も説明不足すぎてイラつく。
ラスト、砂浜での全裸女の新体操か前衛舞踊みたいな踊りには失笑した。
巨匠だし、90歳超の老齢だし、彼の企画だからってこんなんでいいの?

特典インタビューでカーウァイ監督が
「わたしにはアントニオーニのようなイタリア人的な発想はとてもできない」
と語っていて、一応、賛辞をこめたコメントなんだけど、
2人の作品があらゆる意味で対照的すぎて、
この発言がマジな皮肉のように感じられるのはわたしだけ?

'06 6 DVD ★★★★★(ウォン・カーウァイ作品のみの評価)

      
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by Gloria-x | 2006-06-25 19:45 | 映画レビュー