空中庭園/角田光代

「ダンチ」と呼ばれる郊外のマンションで暮らす京橋家のモットーは
「何ごともつつみかくさず、タブーをつくらず、すべてのことを分かち合おう」。
しかし、家族の前では学芸会の芝居のようにふるまいながら、
家族全員がが自分だけの部屋のドアを持ち、
実際はそこにしっかりと鍵をかけているのだった。

家族を作るって難儀なことだなぁとあらためて思う。
子供の頃から漠然と同じことを思っていたけれど、
結婚して子供を作って「家族」という単位を形成することは
とんでもない義務感や重圧感に満ちている気がする。

結婚は自分で選んだ相手と、
お互いで決めたライフスタイルを実践できるからいい。

でも子供って選べないから怖い。
どんな子供が生まれてくるのか未知だし、
いったん自分の子供として生まれてきたら「パス」できない。
思春期になって、何を考えてるのかわからなかったり
意志の疎通ができなくなったり、
そんな人間が家の中にいるなんてすごく困る・・・

って、こんなネガティブなこと考える人間って珍しいのかなぁ・・・。

「家族というのは電車に乗り合わせるようなもの。
こちらには選択権のない偶然でいっしょになって、
よどんだ空気の中、いらいらして、うんざりして、(中略)
それでもある期間そこに居続けなければならないもの」


京橋家の主、タカシの恋人であり、長男コウの家庭教師になる
ミナの独白はまるで子供時代のわたしの心境だ。

'06 5 ★★★☆☆
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by Gloria-x | 2006-05-11 21:38 | ブックレビュー