ブロークバック・マウンテン/BROKEBACK MOUNTAIN'05(米)

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ファーストシーン、
ヒース・レジャーがヒッチハイクの
大型トラックから降りて、
荒涼とした風景を歩き出したシーンのネイビーに近い空の色!
冷たく乾いた風の匂いさえ感じられそうな映像に魅せられた。


わたしがコピーライターをめざすきっかけとなった、秋山晶作品の
「キューピーマヨネーズ」や「パイオニア・ロンサムカーボーイ」
の広告シリーズを思い出す。
そして音楽。アコースティックギターやカントリーミュージックの、
乾いているのに哀愁のある音や歌声が切なくていい。

'63年、季節労働者のイニスとジャックは羊の放牧管理の仕事で出会う。
ワイオミングのブロークバックという山でテントに寝泊りする
過酷な労働の中でふたりの間にはいつしか友情が芽生え、
やがてそれは20年以上にも及ぶ愛の関係へ育っていく。

2人がどんなきっかけで互いに恋愛感情を抱くに至るのか気になっていたら、
ええ~っ!あんなに突然とは!
それまで思わせぶりな描写が一切なかっただけに
あの急展開はびっくり&効果的だった。

ジャックにはもともとそういう「気」があったんだろうけど
正真正銘のノンケだったイニスにとっては驚天動地というか、
アイデンティティーの崩壊ともいう出来事。
誘ったジャックとはからずも目覚めさせられたイニス。

翌朝、イニスはいったん「あれは一回限りのことだ」と宣言するんだけど、
ここからのジャックのリードが絶品なのだ。
イニスに反論したり出来事を否定することなく、
いつの間にかイニスのナチュラルな感情をオープンにさせて
もはやアクシデントではなく、はっきりした
恋情と欲望を自覚したうえで愛し合う方向に導いている。
いや~、ジャックってすごいですなぁ・・・

今までの男同士が愛し合う映画といえば耽美的で、
主人公たちもアート系、ファッション系テイスト漂うものが多かっただけに
大自然を舞台に、素朴で無骨で不器用なカウボーイたちが
愛し合い、苦悩し、涙する姿はとても新鮮。

ジェイク・ギレンホールもヒース・レジャーも今まで印象が薄く、
そんなに注目してなかった役者だが、
複雑な内面演技と、豊かで繊細な感情表現に見直した。
特にヒースの独特の喋り方(口をあまり開かず不明瞭に発音する)は
英語のことはよくわからないけど、ものすごく研究&役作りしたのだろう。

ジャックの妻を演じるアン・ハサウェイもある意味目が離せない存在。
絵に描いたようなテキサス女なんだけど、すごく不自然で病んでる感じ。
髪はドリー・パートンみたいな白に近いブロンドにブリーチしてるのに
眉はくっきり黒々だったり、
家にいてもゴージャスに装って指輪いっぱいつけてるのに、
真っ赤なマニキュアが指の側面についてたり・・・
(女なら誰しも覚えがある、乾く前に指閉じちゃったってやつ)

中国出身でこの空気感を出したアン・リー、さすが監督賞だ。

'06 3 5 劇場 ★★★★★
監督:アン・リー
出演:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、
   ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ
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by Gloria-x | 2006-04-06 20:19 | 映画レビュー