対岸の彼女/角田光代

女って大人になると既婚か未婚か、
専業主婦か仕事を持っているか、
子供がいるかいないか、など属する世界の違いで
わかりあえたり、わかりあえなかったりする、
立場の違いは時として女同士を決裂させる、
というのが一般論のようである。
(わたし的にはそんなことないよ、と思うけれど)

人づきあいが苦手な専業主婦の小夜子は
一人娘を連れて「公園ジプシー」になり、
母子共にともだちができないことを悩んでいたが、
一大決心して働くことを決める。
求人広告を見て応募した旅行会社の女社長・葵は
小夜子と同い年で同じ大学出身だった。


この小説を読むと、小さな子供を持つ専業主婦の世界は
思わず「滅私奉公」という言葉を思い浮かべるほど
人間関係でものすごく大変そう。
しかし、そういう世界でも「わたしはわたし」で気楽にやってる人もいるはず。
(なんの根拠もなく、自分だったらそんな感じでイケそうかも、と思う・・)
要するに、既婚・未婚、子持ち・子無し、主婦・有職なんか関係なく、
結局はその人の中身ってことなのだと思う。

新聞の悩み相談コーナーなどでよく「友だちができない」という悩みを見かける。
こんな風に書くと反感を買うかもしれないが、
その手の悩みにわたしは共感したことがない。
今までの人生、いつどこへ行っても自然に友だちができたし、
これからもどこへ行ってもできるとわかっているからである。

「友だちができない」と悩むタイプの人は、きっと最初から
「友だちが欲しい」「友だちを作りたい」と身構えすぎなのだろう。


わたしはどんな場所、どんな環境に行っても、
「友だちを作ろう」なんて微塵も思わない。
それどころか、内心「一人で淡々と気楽に過ごしたい」と思っているくらいだ。
そこが仕事の場なら仕事に、趣味の場なら趣味に没頭できればいいし、
余計な人間関係に関わりたくないとさえ思っている。
ところが、気がつけばいつの間にかまったく自然に
趣味や波長やノリの合う人々といつの間にか親しくなり、
ワイワイ派手に楽しくやっている。

それは、わたしが「他人との距離の取り方」と
「自分をオープンにする方法」に関してけっこう気を遣ってきた
熟練者だからだと自負しているんだけれど・・・

(持って生まれた資質もあるかもしれないが)

子供~学生時代は同じ学校、同じクラスというだけの理由や
たまたま出席簿や席が近いというだけで行動を共にしたり、
なんとなくグループになったり、友だちになったような気がするが、
大人になってからは、年齢や育った環境、
今まで歩んできた人生がまったく違っても、
人間として「何か通じるもの」があって親しくなるし、
自分の個性そのままにお互いにチョイスしあった実感がある。
そういう関係というのはしがらみがなく、風通しがいい。

まったく逆だと思っている人も世の中には多数いるのかもしれない・・・

原作を読む前にWOWOWでドラマ化を観たが、
財前直見と夏川結衣、その少女時代を演じた役者たちは
すべて適役だったとあらためて思った。

'06 4 ★★★★★
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by Gloria-x | 2006-04-03 23:14 | ブックレビュー