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月の輝く夜に/MOONSTRUCK '87(米)

月の輝く夜に/MOONSTRUCK \'87(米)_c0008209_19453036.jpg公開当時、この作品で初めてニコラス・ケイジを見て
毛むくじゃらのルックスと
鼻づまり気味のこもった声に
「な、なに?この野獣みたいな男は?」と仰天した。
その後いろんな映画を観て、
好きな俳優の一人になったが、
もともと「濃いタイプ」が苦手なので、
最初の衝撃はとにかくすごかった。




片手を事故で失い、そのせいで婚約者に逃げられ、
心に負った傷を兄への恨みにすり替えて孤独に生きるパン職人・ロニー。
彼の兄と結婚が決まったロレッタ(シェール)は
式への出席を頼みに行って初対面のロニーとデキてしまう。

初めて観たときは「なんでこんな屈折しまくりのムサい男と・・・」と
納得いかなかったのだが、何年ぶりかに観なおして
ロニーに対する見方が180度変わったことに気づいた。

まずはロニーの部屋。
男の一人暮らしなのに、すごくすっきり片付いて居心地よさそうな部屋なのだ。
きちんとメイクされたベッドは清潔そうで、
なりゆきでベッドインしたロレッタが朝まで熟睡してしまうのも納得。
部屋を見れば住む人のことがわかるものだが、
ロニーが実はまともな男だということがわかる部屋だ。

オペラ好きというのも意外性があっていいし、
タキシード姿もビシっとキマッてる。
ロレッタへの愛情表現もストレートで真摯、それに
母性本能くすぐる犬みたいに熱い目・・・・
「めちゃいい男やん!」わたしはすっかりロレッタに感情移入していた。

母親役のオリンピア・デュカキスが渋い!
歳をとってもハイヒールをはいて一人でレストランに行き、マティーニを頼む。
店で知り合った男と食事を共にし、意気投合して送ってもらうけど
さらりと誘いを断るのもかっこいい。
ロレッタの伯父夫婦や酒屋の夫婦など、
老いても歯の浮くようなラブラブな会話を交わしているのがすごくよかった。

そういえば、熱いイタリア系家族の話なのに、
デュカキスとシェール母娘は喜怒哀楽をまったく顔に出さず、
一見鉄か氷のようなタイプなのもおもしろい。

'06 2 WOWOW(再見)★★★★☆
監督:ノーマン・ジュイソン
出演・シェール、ニコラス・ケイジ、オリンピア・デュカキス

by Gloria-x | 2006-02-27 20:01 | 映画レビュー