シネマ坊主2/松本人志

毒舌家の代表と言える著者だが、
「誰もがいいと言うものをわざとクサしてやれ、という姿勢には
飽き飽きしているからやらない」と言い切るのはとても説得力がある。

「ロスト・イン・トランスレーション」について
日本人をバカにする映画を作るのはいいけど、バカにする視点が嫌い。
と書いている箇所が印象に残った。
わたしもこの映画を観たとき、
コッポラは「日本が好き」みたいな風を装ってるけど、
実は思いっきり見下してるよな~とモヤモヤした気持ち悪さが残ったのだが、
その正体が彼の文章を読んでわかった。

松ちゃんが他人をいじって笑いにする際、
その人の核の部分は傷つけないのがルールだという。
たとえば「HEY!HEY!HEY!」でゲストミュージシャンをいじる場合、
音楽の部分を否定して笑いを取らないのが鉄則。
そういう意味でソフィア・コッポラは
日本をいじるツボを完全に間違えているという。


近いうちに自分で映画を撮ると予告しているように
観客としてだけではなく、作る側の視点から観て
批評しているのもなるほどと思わせる点が多かった。
わたしなど「こんな疑問は素人すぎるかなぁ」と
ひっこめてしまうようなことでも
堂々と「ここが納得いかない」と書いていて気持ちいい&安心。

前作は松ちゃんがしょっぱなから「ライフ・イズ・ビューティフル」
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に満点をつけていたことにショックを受け
「うわぁ感性違うかも・・・」と危惧したが、
本作はわりと共感する部分の方が多かった。
たとえば・・・・

「ミリオンダラー・ベイビー」
主人公と娘の間に過去何があったのか思わせぶりなまま終わるのは卑怯。

「ミスティック・リバー」
ショーン・ペンが出ているのに、ケビン・ベーコンの役名がショーンなのは
まぎらわしい。必然性がないなら変えるべき。

「キル・ビル」
主人公が日本にきていきなり沖縄に行くのはどう考えても変。

「アレックス」
主人公があんな格好で深夜の地下道を通れば危険な目にあって当たり前。
時間軸をバラバラにして斬新に見せる手法はもう手垢まみれ。などなど・・・

「やるなあ、ノエ(監督)のおっさん」
「そろそろロビン(ウィリアムス)師匠を」
「ピノキオのおっさん、まだ入ってないんか?おばはんは?」
「トム・クルーズの”がんばってまっせ”みたいな感じがムカつく」
などなど、素の口調が笑える。

'06 1 ★★★★☆
[PR]

by Gloria-x | 2006-02-12 10:48 | ブックレビュー