誰か / 宮部みゆき 実業之日本社

某財閥会長の個人運転手・梶田が自転車にひき逃げされて死亡した。
遺された娘2人は父の人生を本にして出版することで
犯人を見つけるきっかけにしたいといい、
会長は広報室で働く娘婿・三郎に姉妹の相談役を命じる。
明るく積極的な妹・梨子は犯人探しにも本作りにも意欲的だが
大人しい姉・聡美はあまり乗り気ではない。
聡美は三郎に「幼い頃に誘拐されたことがある」と打ち明け、
父が過去に犯罪に関わっていたような気がすると怯えていた。

さすがミステリーの女王・宮部みゆき!
梶田を自転車で轢いた犯人をめぐる謎と
姉・聡美が語る「暗い過去」の謎が交差して
ページをめくるのももどかしいほど引き込まれて一気に読んだ。
本筋の謎に加えて主人公・三郎の特殊な家庭環境、
それに対する三郎の葛藤と諦念が物語全体のスパイスとなっている。
全編通して三郎の視点で書かれているのだが、
地の文が単なる主人公の心理描写に終わらず
リズム感とユーモアあふれる語りであると共に
短いセンテンスで状況を的確に説明しているところが秀逸!
三郎の妻・菜穂子も好感の持てる人物。

'05 1 10 5段階評価★★★★
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by Gloria-x | 2005-01-18 19:12 | ブックレビュー