太陽と毒ぐも/角田光代 

タイトルを見るなりダーリンが「俺とグロリアのことや」(-.-;)
毒ぐもは「蜘蛛」ではなく「雲」のことらしい。

頭上で太陽が光り輝いていても、
時として濁った色の悪い雲に遮られてその光が届かないように、
誰かを強く愛することと、
その誰かに激しく苛立つことは矛盾しない、そういう意味のタイトルだという。

週に2回くらいしか入浴せず、ムダ毛処理も化粧もしない女とつきあうようになって、
今までの恋人たちがいかに見えない努力をしてキレイを保っていたかに初めて気づく男。

いっしょに暮らし始めるまで相手が酒に弱いばかりか、
女が酒を飲むのを嫌っていることにも気づかず、
同時に自分にとって酒の存在がいかに大きいかに初めて気づいた女。

美食を追及するわけではないが、
生活の中で「食べる」ことを大事に思っている男と、
スナック菓子で食事を済ませてしまう女のカップルなどなど・・・。

確かに愛と憎しみは共存する。
相手を愛するあまり、時として瞬間的に殺したいほど憎いこともある。
この短編集には恋愛におけるアンビバレントな感情の渦がリアルに描かれている。
著者の作品の中でいちばん共感でき、うまいと思った。

'06 1 ★★★★★
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by Gloria-x | 2006-01-07 15:00 | ブックレビュー