やさしい嘘/Depuis qu'Otar est parti... '03(仏・ベルギー)

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旧ソ連・グルジアに住む三世代の母娘。
年老いたエカは娘のマリーナよりも
パリに出稼ぎに行っている息子オタールの方がお気に入り。
口を開けばマリーナには辛辣な言葉を浴びせ、
息子のことは手放しでほめて愛情表現を惜しまない。
エカの楽しみはオタールからの手紙と電話で、
二人の仲裁役である孫娘のアダは
いつも祖母のために手紙を読んでやっていた。


ある日、オタールの事故死の報せが届く。
マリーナとアダはエタに真実を告げず、
オタールに代わって手紙を書き続ける。
やがて、エタは息子に会うためにパリに行くと言い出し・・・

わたしの母は三姉妹の後に末っ子の弟を産み、
「男の子を産んで初めて子供ってこんなに可愛いのかと実感した」
というようなことをしみじみ語っていたが(娘によく言うよなぁと呆れるが)
母親にとって息子ってスペシャルな存在のようだ。

エカに嘘をつき続けることに罪悪感を覚えたアダが
「ママは母親の愛情を欲しいんでしょ。叔父さんが死んだら
おばあちゃんの中で彼は聖人になってしまって
とてもかなわないから嘘をつき続けるのよ」と母を批難する。

エカとマリーナ、マリーナとアダ、
母娘間の確執はわたしにはおなじみの感覚だが、
マリーナのように弟に嫉妬したりライバル心を燃やす心境は皆無。
姉妹間の権力争いに忙しくて弟のことなんか気にならなかったのだ。
でも、男女一人ずつのきょうだいで母親が息子ばかり可愛がったら
そうなっていたかもしれない。

一人で冬の遊園地に出かけ、観覧車から景色を見下ろしながら
おいしそうにタバコを吸うエカの表情がいい。
タイトルの「やさしい嘘」のほんとうの意味がわかるラストも絶品。

母マリーナはちょっとジャンヌ・モローや岡田茉莉子似の
強気で華のあるいい女なのに、娘のアダは
アンガールズ・山根の女版みたいな地味で色気のないタイプなのがおもしろい。
グルジアの街の風景もすごく趣がある。

'05 12 WOWOW ★★★★☆
監督:ジュリー・ベルトゥチェリ
出演:エステール・ゴランタン、ニノ・ホマスリゼ、ディナーラ・ドルカーロワ
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by Gloria-x | 2005-12-14 20:59 | 映画レビュー