美しい季節の哀しい思い出 

一年のうち、この季節がいちばん美しいと思う。
それはたぶん都会に住んでいるから。

空気は冷たく澄み、銀杏並木が色づき、
街のいたるところライトアップや
クリスマスのイルミネーションできらめいている。

コートを着て、ブーツを履いて
ただ街を歩いているだけで自然に気分が高揚する。

色とりどりに輝く街を見ながら
ああ、この時期に恋人がいないのは
寂しく哀しいことだろうなぁとしみじみ思う。

過去に恋人のいるクリスマスも
いないクリスマスも経験してきたけど、
恋人がいないクリスマスシーズンの侘しさったら・・・

今でも思い出すのはフリーランスになりたての
20代前半のクリスマスイブの夜。
わたしはスケジュールがタイトな仕事に追われ、
その頃出入りしていた事務所に一人で残って
深夜まで必死でコピーを書いていた。

バブル前の浮かれた世間では
カップルたちがラブラブ気分に浸っているというのに、
わたしは一人古い雑居ビルの一室で黙々と仕事・・・

その夜は記録的な寒さだった。
凍りつくような夜、やっとコピーを納品して
ぐったり疲れて白い息を吐いて帰宅しながら、
「わたしって日本一可哀相な女だ・・・」と
ものすご~く惨めな気分になったのを
今も鮮明に覚えている。

欧米ではクリスマスに自殺者が急増するというが、
激しくシンパシーを覚えたものだった。
日本では家族とクリスマスを過ごす習慣はないが、
街中が恋人たちのためにあるといっても
過言ではないムード一色になるから
孤独な身にはその華やかさが辛い。

結婚していてよかったなぁと実感するのもこの季節だ。
特別なイベントなんかなくても、
家に帰れば愛するひとがいて
共に笑って過ごせるのだから。
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by Gloria-x | 2005-12-04 21:56 | 出来事・世間・雑感