非色/有吉佐和子 角川文庫クラシックス

第二次大戦直後、進駐軍キャバレーのクローク係だった笑子は
黒人の伍長トム・ジャクソンと結婚し、長女メアリーを生む。
やがてニューヨークへ渡った笑子を待ち受けていたのは
日本では想像さえしなかった貧しく過酷な生活だった。

人種的偏見の表現や中絶禁止法など、やや隔世の感があるが
(現在だったら出版できないのでは?と思うようなストレートな
差別用語が平気でバンバン出てくるのにもびっくり!)

主人公が差別や貧困と戦ってタフに生きていく姿勢は気持ちいいが、
人種問題云々よりも、わたしが納得いかないのは
主人公が次々に子供を産み続けること。
夫に対する愛情は冷め切っているどころか軽蔑さえしているし、
ハーレムの狭い地下室で食うにも困る貧乏生活で
まったく予定外の妊娠なのに・・・なんできちんと避妊しないのか?
また、夫のキャラクターが急に希薄になるのも気になる。

日本でも「離婚したい」とか「家庭内別居状態」などと言いながら
いつの間にか二人目、三人目の子供が生まれている夫婦がいるが
わたしにとって世界七不思議のひとつだ。

敗戦国日本人が、白人と黒人の違いはわかっていても、
白人の中にも様々な人種があること、
イタリア系、プエルトリコ系などが差別されていることなどは
知る由もなく、アメリカ人と結婚さえすれば
夢のような暮らしができると思い込んでいたのは
今だからこそ「そんな浅はかな」と思うけれど、当時は珍しくなかったのだろう。
ある意味、時代の仇花的作品という気がする。

'05 9 ★★★☆☆
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by Gloria-x | 2005-10-07 12:11 | ブックレビュー