痕跡 TRACE / パトリシア・コーンウェル 講談社文庫

シリーズ13作目。
ケイ・スカーペッタがマリーノと共にリッチモンドへ帰ってきた。
後任の検屍局長から突然かかってきた電話で
捜査協力を依頼されたのだ。
ケイは「行きたくない」と本能が発するサインを無視して出かけ、
懐かしい土地で様々なトラブルに巻き込まれる。

ケイとマリーノ、ケイとベントンの関係の新展開や
ルーシーの新しい仕事などの部分は読みごたえあり。
冒頭から漂う不穏なムードを数々の伏線が高めながら
ラストまで引っ張っるが、いかにもな伏線の数々の
謎解きをしないまま終わってしまうのですっきりしない。

ケイが捜査協力を依頼された事件の被害者+は
自宅でインフルエンザで寝込んでいる時に不審な死をとげた少女。
そして、ルーシーの部下・ヘンリもルーシーの家で
インフルエンザで寝込んでいる時に侵入者に襲われる。
さらに、検屍局ではケイの元部下・フィールディングが
皮膚病を患い別人のように変わり果てた姿になり、
別の女性スタッフは証拠採取の作業中に「熱が出てきたみたい」
とインフルエンザのような症状を訴える・・・

「感染」が事件の鍵のひとつのような思わせぶりな展開なのに
個々の症状になんのつながりもなく、事件にも無関係なのはどういうこと?
物語の核となる犯行の詳細や、少女の母親の怪しい言動、
ケイを目の敵にする後任検屍局長の病的な恐怖症など、
すべての要素が思わせぶりにテーブルに出されたまま
しかるべき場所に収められないまま結末に至ってしまうのが不満。

'05 5 ★★★☆☆
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by Gloria-x | 2005-05-18 14:42 | ブックレビュー