サラの鍵 / Elle s'appelait Sarah '10(仏)

ジュリアの妊娠にまつわる顛末以外は言うことなしの作品!
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1942年フランス、1万3千人のユダヤ人をフランス警察が逮捕。
ドイツの収容所に移送されたユダヤ人のほとんどが虐殺されたという
「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」をテーマにした作品。

警察が家に踏み込んだ時、ユダヤ人の少女サラは
とっさに幼い弟を納戸に隠して鍵をかける。
その後両親とサラはドイツの収容所へ移送され、家族はバラバラに。
サラは弟を助け出すために収容所を脱走するが・・・

一方、現代のパリ。
ジャーナリストのジュリアは特集記事を書くため
「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」について調べるうちに
夫の祖母から譲り受けたアパルトマンに、かつては
収容所送りになったユダヤ人一家が住んでいたことを知る。


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ユダヤ人たちがいったん収容された「競輪場」描写は
生々しさ、臨場感が生理的に直撃!
板のベンチが並ぶ観客席にすし詰めにされ、
トイレは使用禁止、飲み水すらもらえない。
着の身着のまま数日間過ごした後、トラックに詰め込まれて収容所へ・・・

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サラが弟を閉じ込めてきたことに対し、
両親共に「お前のせいだ!」「勝手にあんなことして!」と
子供相手とは思えないほど感情むき出しで怒るのが意外だった。
あんなに子供思いの家庭的な親なのに・・・

アメリカや日本映画だったら、親の本音はともかく
「お前は少しも悪くないよ」と娘を抱きしめるのでは?
個人的には子供に対して必要以上に理解ありすぎたり、
尊重しすぎる風潮に日頃から疑問なので、えらくリアルだなぁと印象に残った。
わたしの親も子供だからって容赦なく、
感情のままに怒りをぶつけるタイプだったしなぁ・・・(-_-;

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クリスティン・スコット・トーマスは好きな女優なので
安心して観ていられたし、この役もしっくり馴染んでいたと思う。
知的で人間的で、職業人としても一人の女性としても好感が持てるキャラクター。

ジュリアはアメリカ人で、フランス人の夫とティーンエイジャーの娘がいる。
45歳という設定でジャーナリストとしてバリバリ仕事もしている。

ところが、思いがけず妊娠してしまうのだ。
夫は「年齢的にも今から子供の親にはなれないよ」と出産に反対。
すごく正直で現実的だと思う。(夫はたぶん50代)
夫婦関係は良好、揃って仕事も充実、娘も一人いる。
祖母から譲り受けたアパルトマンのリフォームも順調。
人生設計はパーフェクトなのだ。
そこへ今さら妊娠!?アクシデントでしかないでしょー。

しかしジュリアはそんな夫に失望し、怒る。
夫の現実的意見には耳を貸そうともしない頑なな態度。
そのあたりからジュリアにまったく共感できず・・・

あまりにも妊娠に固執するので
もしかして上の娘は夫の連れ子?と思ったがそうじゃないみたい。
「長年不妊治療して、2度も流産してやっと授かったのよ」と言うけど
夫婦+上の子の年齢考えたらどんな家族計画やねん?

結局ジュリアはその子を産むのだけど
女性が妊娠したら、現実的状況など一切無視して
「生命賛歌」でめでたしめでたしってどうなんですかね?


しかもその子供の名前がー!
終盤、子供の名前を聞かれるシーンで
「まさか~いくらなんでもそんなベタなことしないよねー」と
一瞬頭をよぎったそのまんまとは!
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ジュリアについてケチばかりつけたけど映画は素晴らしかった。
こんな時代にも良心と勇気を持つ人間はいたことに感動!
サラの後半生はドラマティックでアメージングだ。
成長後のサラを演じた女優、どこかで観た気がするんだけど・・・
公式HPにも情報なしで残念!

エイダン・クインが特によかった!

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'12 2 劇場 ★★★★★
監督:ジル・パケ・ブレーネル
出演:クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、エイダン・クイン
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by Gloria-x | 2012-02-10 20:12 | 映画レビュー