イグアナの娘/ 萩尾望都

この歳になって、やっと読む勇気が出ました

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ある夫婦に可愛い女の赤ちゃんが誕生。
ところが、なぜか母親の目には
娘が醜いイグアナに見えて、どうしても愛することができない。
「神様、お願い!こんなのじゃなくて普通の女の子をあたしに授けて!」
願いは叶い、次に生まれた娘は人間に見える。
「こんな日を夢見ていたのよ」と母親は次女を溺愛。
次女が何をしても「かわいい、かわいい♪」
一方、長女のことは「ブサイクなくせに」「可愛げがない」と徹底的に目の敵。
母親から嫌われ憎まれて育ったせいなのか
長女自身の目にも自分は醜いイグアナに見えていた。
やがて長女は恋をし、結婚して女の子を産むが
どことなく自分の母親に似た娘を可愛いとは思えないのだった。


この作品のことは雑誌発表当時から知っていたが、どうしても読めなかった。
ものすごく読みたいのに、怖くて読めなかったのだ。

自分に重ね合わせ、感情移入しすぎて
辛くなるのがわかっていたからである。


わたしの場合、妹と差別されて云々ではなく
とにかく母親がわたしのすべてが気に入らなかったらしく
容姿、趣味、一挙手一投足に至るまで
「可愛げがない」「ひねくれてる」「どうしてそうなの?」と
ことごとく目の敵にされたのです。
きっと母の目にもわたしは醜いブタか何かに映ってたんだろうな~
(ようやく冷静にそう思えるくらいには成長した)

ああ、タイムマシンで母親に会いに行って
「ほめて育てる」「長所を伸ばす」って言葉を教えてやりたいわー!

萩尾望都 少女マンガ界の偉大なる母を読んで
萩尾さん自身、両親(特に母親)との間に深い確執があることを知った。
彼女の作品には親と子の確執、アダルトチルドレンを扱った物も多いが
舞台が外国だったり、母親と息子だったり・・・
現代の日本という設定で母娘の確執を真正面から描いたのは
「イグアナの娘」が初めてである。

萩尾さんによると
「日本物を描くとき、家族の問題を描くとどうしても親がからんでくる。
すると、描きたくない!となってしまう」長年そうだったのが
「残酷な神が支配する」を描いてから、やっと親と距離を取れるようになり
日本を舞台にしたり、親の世代が描けるようになったのだとか。

この本には萩尾さんのご両親へのインタビューも載っているが
お母様は「確執なんてあったかしら?」的なというか
娘である萩尾さんが長年苦しんでいることすら気にもとめていない風というか
ある意味あっぱれというか、うまく言えないが
親という生き物はこうなんだろうな~と感慨深かった。

この天才にしてこうなのだから
わたしが長年怖くて「イグアナの娘」を読めなかったのも当然だ。
実際に読んでみると、予想外にコミカルなタッチで
構えていたより楽に読めた。(短編だったのも意外!)
内容もスタンダードな心理学的公式なのでわかりやすい。

それにしても、主人公リカはあんなに母親に嫌われて育ったのに
結婚すると当然のように子供を作るのがすごいと思う一方、
わたしにはちょっと共感できない。

わたしは子供時代、すでに親子関係というものに
ヘトヘトに疲れきって満身創痍だったので
「大人になってやっと解放されたとしても
子供を産んだら、この果てしない戦いをまた繰り返すのか~
そんなの絶対イヤだ!そうだ、子供なんか産まないことにしよう」
と強く強く決心したのである。


実は「イグアナの娘」本編よりも、Amazonで読んだ某読者のレビューの一文が鋭く印象に残った。

~大塚英志氏は「萩尾望都はなぜいつまでも“母”を許さないのだろう」と書いていた。
  答えは簡単だ。萩尾さん自身が「母親」にならなかったからだ~



'11 9 ★★★★☆
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by Gloria-x | 2011-10-05 18:23 | ブックレビュー