死ねばいいのに / 京極夏彦

京極ファンなら「これ一作で判断しないで」と言うかもしれないけど・・・

c0008209_1531294.jpg

実は京極夏彦を読むのはこれが初めて。
他の作品を読んでいないのでわからないけど
京極氏の作品群で、これはメインストリームじゃないのだと思う。
だからファンの方には「これ一作で判断しないで」と言われるかもしれない。
だけど、たぶんコレが最初で最後になりそう・・・

死んだ女のことを教えてくれ、
と無礼な若い男が突然現れて尋ねる。
男の訪問を受けた6人の男女は
戸惑い、時に憤り、死んだ女のことよりも自分のことを喋り始める。
彼らはいったい彼女の何を知っていたというのか。


既に死んだ人物について複数の人物が語り、
その証言で人物像が浮かび上がる・・・・
こういうスタイルの小説は嫌いじゃないのだが

またも出ました!有吉佐和子悪女についてスタイル。
深木章子鬼畜の家もそうだったけど
このスタイル、一見簡単なようでかなり難しい手法だと思う。
よほどのキャラクター書き分けの才と、語彙の豊富さ
文体の技量がなけりゃ読むに耐えません・・・

とにかく狂言回し役の若い男の口調がイヤだ

「なんすか」「つーか」「違ーよ」(ちげーよ)
作者の意図なのはわかるけど
全編ずーっとこれで通されるとウンザリしてくる。

「俺、頭悪いし、敬語とか知らねぇし、態度悪いから怒らせるかもしんねぇすけど」
それで相手がムッとすると
「態度は悪いんだよ俺は」と開き直る。
「俺、本気でモノ知らないんすよ」
本気でって何だそれ!?と読んでるこっちが怒りたくなる。

百歩譲って、狂言回しがこれだとしても
他の登場人物のキャラがもっと多彩で深ければおもしろいのだが
表面上はバリエーション豊富なようで
彼らの語る内容がすべて自分の境遇への愚痴なのでおもしろくない。
(それも意図的なのもわかるけど)

そのくせ「揶う(からかう)」「乍ら(ながら」「慥かに(たしかに)」「寧ろ(むしろ)」
など、この作品の中では浮きまくるような難しい漢字表記も鼻につく。

ミステリーとしても特に斬新な驚きもないし(犯人なんか最初にわかるし)
読後感もすっきりしないし
時間返せ~って言いたい一冊だった。

'11 8 ★☆☆☆☆
[PR]

by Gloria-x | 2011-08-20 16:30 | ブックレビュー