儒教と負け犬/酒井順子

東京、ソウル、上海。東アジア三都市「負け犬」たちの実態

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大ベストセラー負け犬の遠吠えが出版されたのは2003年。
2009年、著者・酒井順子氏はふと気づく。
近頃の女性は負け犬ブームの頃より早く結婚するようになったのでは?と。

「負け犬」という言葉が社会現象となった当時、10代、20代だった若い女性たちが
「30歳を過ぎて独身の女は負け犬」と言われる先輩たちを見て
「わたしはああはなりくない!」と早めに結婚するようになったというのだ。

背景には時代の変化もある。
右肩上がりの成長や無限の可能性を信じられたバブル世代とは違い
バブル崩壊、世界的大不況の時代を生きる若い女性たちには
「早く身を固めて安心したい」という考えが強いらしい。

先進国の出生率を比較すると
「男は仕事、女は家事と子育て」という男尊女卑傾向や
「成長した子供が親と同居するのも当たり前」という
伝統的家族観が根強い国ほど出生率が低いことに注目した著者は
「儒教」というキーワードを手がかりに韓国と中国の独身事情を探る旅に出る。

ロマンチストでけっこう身持ちが固いソウル負け犬
合理的でプライド高く、女尊男卑が当たり前の上海負け犬


ソウル、上海の負け犬・勝ち犬それぞれの座談会がおもしろい。
負け犬は「一流大卒で高収入な職に就き、海外留学経験やMBAなどの資格取得も普通」
勝ち犬は「実家は裕福で自身も一流大卒。夫の職業は医師、弁護士、会社経営」
と両都市ともにかなりハイレベル。

ソウル負け犬で意外だったのは
日本のように女性同士で性体験の話などしないという事実!
ソウルでもヒットした「SATC」だが、ファンとして楽しんでいても
「海の向こうのお話」と捉えているらしい。
一方、上海では同じ「SATC」を観ても
「わたしたちの生活のほうがもっとおもしろいのにねー」という感覚らしい。

とにかく上海女性の女王様っぷりに驚愕!
上海では「女尊男卑」が当たり前で、男性がひたすら女性につくし
ほとんどの家庭では伝統的に夫が料理や家事をするのだとか。
それに対する上海女性のコメントもすごすぎー!

「男って基本的にマゾだから女に管理されると嬉しいのよ」
「優しくすると男って女を舐めてくるじゃない。キツく言うほうがいいのよ」
「日本人とつきあったことあるけど、すごく偉そうでムカついた!」
「上海の女はいかに一円でも多く夫から毟り取るか常に考えている。
結婚するなら最低でもマンションくらい持ってないと」

「夫が待ち合わせに遅れたら、10分いくらという風に必ず罰金を取ります」
「頭にきた時はヒールで夫の頭を殴ったりするわね」etc・・・

たまにバラエティ番組で見かける「鬼嫁」みたいだけど
「敵味方」じゃなく「夫婦」なのに愛はないのだろうか?
こんなに高圧的な態度で夫に接して
はたして女性本人の心中は幸福なのかしらん?
って不思議に思うわたしなんか上海女性から見ると
ロマンチスト幻想を抱いた甘ちゃんなんでしょうかねー。

'11 6 ★★★★☆
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by gloria-x | 2011-06-28 13:41 | ブックレビュー