「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま/ 山田昌弘・編著

結婚できた、しかも恋愛で。まるで奇跡ですやん!と思えてくる一冊

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「結婚したいのにできない」
未婚者が増えているのはなぜか?


ただ待っていても結婚相手は現れない。
就職したければ就職活動(就活)するように
結婚したければ自分から積極的に活動しなければならない。

それを「婚活」とネーミングした著者は
「パラサイト・シングル」「格差社会」という言葉を浸透させた社会学者。

先日、会社の20代半ばの男子が嘆いてた。
「こんな年収じゃ絶対に結婚なんかムリっすよねー」
それに対して同じく20代半ばの女子が
「しっかり稼いでくれるカノジョ見つければいいやん」
こういう本を読まずとも、若い人たちは現実を認識してるし
打開策もちゃんとわかってるんですね・・・

著者曰く社会学とは人が見たいと思わない現実をあえて明らかにすること
「何もしなくてもいつか自動的に結婚できるはず」という
依存体質から抜け出さないと結婚は無理。
厳しい日本の現実をわかってもらうために「婚活」という言葉を作ったが
著者の意図を超えてブームになり、一人歩きして
「数少ない高収入男性をつかまえるための活動」と転じてしまった。

世間一般の認識と現実のギャップ指摘、
生まれた年代別による結婚観なども具体的でわかりやすい。
日本の未婚率・少子化上昇の原因は
「仕事を続けたい女性が増えた」からとまことしやかに言われてきたが
現実の女性の本音は「仕事を続けようが続けまいが、
そんなことに左右されない経済力を持った男性と結婚したい」
しかし、近年の経済・雇用状況の変化によって
低収入男性が増えたことが結婚の減少につながっているという指摘。

男性は「経済力+外見+コミュニケーション能力」が揃っていないと
見合いという土俵にすら乗せてもらえないというが
「バンドが売れてビッグになったら結婚する」(ロックスター志望の30代男性)
「俺のことを好きになったら一緒に苦労してくれる女性がどこかにいるはず」
(月収6万円程度の40代男性)
「高収入になる」「低収入の自分を好きになる女性と出会える」という
ありえない夢を見ている男性も実在する。

一方、リーマン・ショック以降、女性の「婚活」意識は
「この不況下でも安定した収入を稼ぐ男性を勝ち取る」ことへ変化した。
「AERA」記事の抜粋は例の如く「いかにも」な極端例でウンザリ・・・

恋愛を基礎とする結婚こそ
唯一の正統な男女関係である

これはロマンティック・ラブ・イデオロギーという思想。

わたしは生まれつきそれが当然と思い込んでいたタイプ。
しかし世の中には真逆の考え方を持つ人もいて(そっちの方が多い?(?_?))
「一流企業勤務で経済力があり、なおかつ恋愛経験がないため
すべて自分の意のままに操れる」男性と見合い結婚した知人もいる。

いい悪いではなく、わたしには絶対できないマネなので
驚嘆と同時にある意味尊敬の念すら覚えてしまう。

アメリカの結婚活動や、アメリカから見た現代日本の婚活、
現代中国の激変しつつある婚活(日本に似ている)などの項もおもしろかった。

だけど、もしわたしが現在未婚者だったら
本書を読んで「行動しなきゃ!」と思うより
現実の厳しさに打ちのめされてしまいそう・・・(-_-;
愛する人と偶然出会って恋愛⇒結婚に至り
それが継続してるなんてまるで奇跡に近い?

何も考えず歩いてきた道が有名な心霊スポットだったとか
野生の熊がウロウロするデンジャラス地帯だと後で知り、
今さらゾーッとして無事に感謝するような感覚というか
それが冒頭の感想になったわけです。

'11 6 ★★★★☆
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by gloria-x | 2011-06-01 19:12 | ブックレビュー