抱擁、あるいはライスには塩を/江國香織

70年代大島弓子ワールド全開!(褒め言葉として)

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東京・神谷町で大正期に建てられた洋館に暮らす柳島家。
ロシア人の祖母、子供を学校にやらない教育方針、
息子は大学卒業後一年間ヨーロッパ遊学(留学ではない!)する習慣、
そして4人の子供のうち2人は父か母が違うという事情。
三世代、百年にわたる「風変わりな家族」の秘密とは・・・


久々に江國香織作品を思う存分堪能。
脳内映画(漫画?)を鑑賞しているかのごとく
たいへんビジュアルイメージしやすい小説である。
章(時代)ごとに一人称の語り手が変わるスタイルで書かれているのだが
柳島一族の人間による章は美しくほろ苦甘く、徹底的に生活感皆無。
そして、一族以外の人物による章が適度なスパイスになっている。
この構成はお見事!

家族や兄弟姉妹だけに通じる合言葉や、独特の言い回しなど
わたしもそういうものを実家の家族や夫との間に山ほど持っている。
それらをあらためて愛おしく感じ、ずっと大事にしようと思った。

読んでいる間ずっと感じていたのは
「まるで大島弓子の漫画みたい!」という感覚。

お金持ちの美形家族、古い洋館、美しい庭、
庶民感覚とは明らかに違う生活習慣、家族の秘密etc・・・
といった道具立てが丸ごと大島弓子ワールド!
(江國作品では「神様のボート」も大島弓子ワールドだと思った)

極めつけは叔父・桐之輔というキャラクターである。
ルックスも、ファッションも、性格も、言葉遣いも何から何まで
「ヨハネが好き」「F式蘭丸」「ジョカへ・・・」
「雨の音がきこえる」「銀の実を食べた?」あたりの
70年代の大島弓子作品の登場人物そのまんまなのだ。
大島弓子作品(特に70~80年代の)を愛する人なら
ハマること必至だと思います。

それにしても最強ですね。
東京都内の裕福な一族で、ロシア人の血をひく美形なんて。
ああ、来世はこんな家の子に生まれたい!

わたしが激しく共感したのは「肉を食べる」ことについての一節
~動物の温かな生命をきちんとお腹に入れないと、人は心に力がつかない。
 精神的生命力とでもいうべきものが薄くなり、
 人生を愉しもうとする欲望や、血の気や活気も薄くなる。~

'11 2 ★★★★★
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by gloria-x | 2011-02-02 21:19 | ブックレビュー