小さいおうち/中島京子

すべては最終章にあり。そこまでは長く緩やかな前奏曲。

c0008209_19461663.jpg
やられましたね~。
読み始めてすぐに
「なんでこれが直木賞?ていうか
中島京子がなぜわざわざこんな作品を?」
ずーっとモヤモヤしたまま7章を読み進み、
最終章で「はは~!そう来ましたか。やっぱり中島京子だ」と納得。
気持ちのいい感動すら覚えました。
今気づいたけど音楽なら「ボレロ」みたい。

昭和のはじめ、東京郊外の赤い三角屋根のある家で
女中奉公した日々を回想するタキ。
若く美しい時子奥様の側で過ごした日々が
タキにとっては最もしあわせで忘れがたい時代だった。
60年以上の時を経て蘇る思い出は懐かしく、切ない。
そして、ついに語られなかった真実とは・・・


田舎から東京へ出てきて女中奉公する主人公
若く美しい奥様、可愛いぼっちゃん
豊かでモダンな東京の生活が戦争によって激変する・・・etc
読みながら水村美苗著「本格小説を思い出すが、
あの作品が放つ独特の強烈なオーラはないしなぁ・・・

昭和という激動の時代を生きた女性の一代記だとしたら
姫野カオルコ著「ハルカ・エイティの方が断然おもしろいしなぁ・・・
(正直、こっちに直木賞あげてほしかった!)

ず~っとそんなことを考えながら、
言わば頭の中に大きな「?」を点滅させつつダラダラ読み進み
最終章に来て俄然座りなおして一気に読了。
中島京子がなんの仕掛けもしないわけないですね。
ま、それにしては前フリが長すぎる気もしないではないけど
読み終えてみると、やや退屈で平板な語り口と展開が
後でじわじわ効いてくるようにも思え、それも計算ならさすが!

'10 9 ★★★★☆
[PR]

by gloria-x | 2010-09-27 20:40 | ブックレビュー