パスタマシーンの幽霊/川上弘美

大人の「不思議ちゃん」、だけどナチュラルだから違和感なし。

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女性作家が書く女性について、わたしはいつも
「こんな女いるかー?」とか「こんな女とはともだちになれないなー」とか
いろんなことを感じながら読んでいる。

好きか嫌いか、共感できるか否か、リアリティがあるか否か・・・・

たとえば小池真理子森瑶子の書く女性は
「ザ・女」って感じで苦手・・・
世代的な感覚差なのかもしれないけど
すべてにおいて自分とは異人種という感じ。
生活感なさすぎだし、シリアスというか、かっこつけすぎというか・・・


角田光代の書く女性は↑とは逆に、
わたしには雑で女度が低すぎる感じ。

林真理子が書く女性は、共感できる部分もあるけど内面ドロドロしすぎ!
基本的にイジワルそうだし、常にいろいろチェックされてしんどそう。

江國香織の書く女性は「不思議ちゃん」が多いが、どうも作為的・演出的で鼻につく。
話してるとイライラしそう。

山本文緒の書く女性は「角田光代+林真理子×もっと根深く怖そう」

姫野カオルコの書く女性は小池・森タイプとは違う意味で異人種という感じだが、
好感が持てるし、適度な距離感を保ってつきあえそう。




で、いちばん無理なく共感できて、好感持てるのは
川上弘美の書く女性のような気がする。


男子も女子もせいいっぱい「もて」をめざすべし、
という世間の風潮と自分は無関係と思い込んでいたのに
三十歳になってから、突然「もてる」ようになった主人公。
そして、それは何かの間違いなんじゃないかとしょっちゅう思っている。
「もしかして、わたしって、マ性?」と手帳に書き込む。
(魔という漢字が思い出せなかったらしい)

~どの男の子も、律儀にメールや電話をくれて、
律儀に食事に誘ってくれて、律儀にホテルに連れていってくれる
でも、魔性の女、というものとも、もちろんわたしは全然違う。
そのことは、よくよく承知している~


このすばらしい客観性!
川上弘美の書く女性は、
いい女ぶったり、ヒロイン気取りにならない。
そこが好きだ。


同棲していた恋人にふられ、出て行った男の荷物を捨てながら
歯ブラシが使い古されていたことにあらためて気づく主人公。

~新しいのを買ってあげようと思いつつ、買いそびれていた。
買わなくて得した。そう思ったとたんに、また悲しくなった~ 


ともだちの夫がともだちを殴ることについて「DVじゃない、それ」と息巻く主人公。
しかしともだちは「いや、あたしの方がもっと殴るから」と落ち着き払っている。

~そういう結婚は、いやだな~

上昇志向とか、ギラギラした欲望とか、
「わたしが!わたしが!」的な自己主張とは無縁で
くよくよしたり、自己嫌悪に陥ったり、弱腰になったり・・・
それでも悲劇のヒロインぶらず、悲しみながらも同時に
醒めた目で自分を見たり、日常的なことを考えたりしている。
淡々としてるが、女度も低くない。
そういう女性像に好感を抱くし共感する。

けっこう現実離れした話や「不思議ちゃん」な主人公も多いけど
作為的じゃないので自然に受け入れてしまう。

'10 7 ★★★★★
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by gloria-x | 2010-07-14 12:59 | ブックレビュー