マイ・ライフ、マイ・ファミリー/The Savages '07(米)


劇場未公開の佳作!だけど・・・
凡庸だし、腐るほど似たタイトルがあって覚えにくい、
なんでこんな邦題つけるの!?

c0008209_1215032.jpg

オリジナルポスター ↑ 作品のムードを端的に表現してセンスいい!

ずっと観たかったのにDVD借りようにも、タイトル不明で見つけられずイライラ・・・

ちなみに日本版ポスター ↓ 邦題から推して知るべし。
c0008209_1475437.jpg

長年、音信不通だった父親が認知症になり、面倒を見るハメになった兄と妹が、
親子の確執や心の傷を浮き彫りにしながら葛藤する姿を描く。

c0008209_12152058.jpg
うっとりするほど美しい風景で映画は始まる。
真っ青な空、白い雲、揺れるパームツリー、
燦燦と降り注ぐ太陽の下ではつらつと運動する老人たち・・・
父親は富裕な高齢者の街、アリゾナのサンシティに住んでいたのだ。

家は同居していた女性の持ち物で、2人は内縁関係。
一方が死んでもお互いの財産は一切分与しないという契約書を交わしていた。
女性が急死し、家族が家を売却するため、兄妹は父親を引き取るハメに・・・
この一連のシーン、ほんとにビジネスライクで
情やしがらみの入り込む余地もなく、いかにもアメリカって感じ。
c0008209_1482983.jpg
兄妹の母親は育児放棄して家出し、2人は父親に殴られて育った。
途中、この父も自分の父親に虐待されていたらしき描写があるが、
そんな環境で育ったせいか2人とも情緒不安定。
「家庭」というものに夢を持てないのか、
共に独身で、異性と安定した関係が築けない。

この親父ってのが威圧的で怒りっぽくて可愛げゼロ!
親の責任果たしてなくても、子供だというだけで面倒みなきゃいけないなんて悲惨だ。

子供って親に対する恨みは自力でなんとか処理するしかなく、
そのことについて、なぜか罪悪感を抱かなきゃいけない使命なのかも。


兄はクールに現実的に対処し、施設を探して父親を入れるが、
妹は急に肉親の情や罪悪感に目覚めて
「わたしたちは鬼のような子供だわ!」などと感情的になり、
父親の部屋にいろんなモノを買って持ち込んだりする。
親父がそれを全然ありがたがってないのが皮肉。
c0008209_12161355.jpg
兄は大学教授のかたわら戯曲や演劇の本を書き、
妹もいつか世に出ようと戯曲を書いているが、派遣社員で生活は不安定。
兄妹としては同志でも、モノを書く人間同士の微妙なライバル心もある。

ローラ・リニーの情緒不安定で好戦的な妹、
フィリップ・シーモア・ホフマンのあえて感情を殺し、
何かを抑え諦めているような兄の対比。
一転して兄妹で感情をぶつけあい、口汚く罵りあう時の
救いようのない空気など見ごたえ満点。

2人が車の中で延々と口論すると、親父が補聴器のスイッチを切って
毛皮付きフードを頭からすっぽり被るシーンがあるのだけど、
すべての元凶はあんたでしょーが、と言いたくなる。

ラストの思いがけない爽やかなカタルシスで救われる!

'10 5 DVD ★★★★★
監督:タマラ・ジェンキンス
出演:ローラ・リニー、フィリップ・シーモア・ホフマン
[PR]

by gloria-x | 2010-06-01 16:43 | 映画レビュー