無理/奥田英朗 


「最悪」「邪魔」に続く待望の長編群像劇!

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町村合併でできた人口12万人のゆめの市。
文化的なものや、富裕層・知識層は皆無で、
国道沿いのショッピングセンター「ドリームタウン」が唯一の盛り場。

そんなゆめの市で暮らす5人。
社会福祉事務所で生活保護を担当する公務員、
東京の大学に進学して町を出ることだけが目標の女子高生、
暴走族あがりで、老人宅に詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン、
スーパーの保安員をしながら新興宗教にのめりこむ離婚中年女性、
父の選挙区を継ぎながら、田舎の政治がつくづくイヤになっている市議会議員。
鬱屈を抱えながら日々を送る5人が、思いがけない事態に陥っていく。


奥田英朗作品はこの系列が好き。
最悪邪魔もジェットコースターに乗ったように
途中で読むのをやめられず、2日くらいで一気読みした。
で、待ちに待った新作だが、今まででいちばんしんどかった・・・

古い商店街は寂びれ、路線バスは廃止になり、
車がないと買い物にも行けない田舎で、
老人たちは荒れ果てた団地に取り残されている。
さらに、生活保護受給者が群を抜いて多く、年々増加。
特に多いのが、若くして結婚、出産、離婚したシングルマザーたち。

って、もう夢も希望も突破口もなし・・・(-_-;

よくできてるし、おもしろいのは確かなんだけど
読んでる間中、なんだかどよ~んと重苦しいというか、厭世観いっぱいになり、
日本という国にも、自分の将来にも明るい要素なんかない、
という気にさせられてしまった。

前2作は悲惨で荒唐無稽な状況ではあるものの、
まだ破滅的なパワーみたいなものや、フィクションの醍醐味があったが、
これは変にリアリティがあるだけにどんどんネガティブになってしまう。
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ>」の舞台である地方都市に通じる閉塞感。

唯一の慰めは、こんな町に生まれ育たなくて、
今後も住むようなハメにならないって思えたことだけ?


'10 5 ★★★★☆
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by gloria-x | 2010-05-29 15:36 | ブックレビュー