リアル・シンデレラ/姫野カオルコ

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ものすごくおもしろくて、少し泣ける小説。
といっても、もちろんあのテの「泣ける小説」ではない。


「シンデレラ」を再読したある女性編集者は
幼い頃から覚えていた違和感を思い出す。
「この人って、しあわせ?」

~感情的な母親のもと、粗末な身なりをさせられて
 暮らしている一人の娘が、 不思議な力や強運により、
 経済力のある支配的地位の男性と結婚する~

編集者の違和感とは、’70年代以降批判されてきた
受動的過ぎるヒロインの姿勢ではなく、
ヒロイン以外の登場人物ばかりが目立つこと。

プロダクション社長も同じような疑問と不満を漏らす。
「なんでこの人が勝った女の代表みたいになってんの?
そもそもこの人、美しくないじゃん」
彼はある女性の名前を挙げ、彼女こそほんとうのシンデレラだと言う。
そして、編集者はその女性の一代記を書くことになった。


と、ここまでがプロローグ。
本編は長野県の温泉旅館の娘に生まれた「倉島泉」という女性について
様々な人に取材した証言をもとに構成されていく。
有吉佐和子「悪女について」もそうだが
語る人によって主人公の人物像が激変する
(この小説では容姿さえも!)おもしろさがある。

そしてなによりも姫野カオルコならではの
まるで数式を読み解くような論理の展開と分析!
(こういう表現でいいのか自信がないが)
登場人物のキャラクター描写や、彼らの心理・行動の分析に
いつにも増して「姫野節」が冴えまくり!

ラストで「リアル・シンデレラ」というタイトルの意味が心に沁みる。

'10 5 ★★★★★
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by gloria-x | 2010-05-12 19:21 | ブックレビュー