掏摸 スリ /中村文則

c0008209_1782383.jpg
裕福な人間だけをターゲットにする天才スリ師。
ある日、彼は「最悪の男」と再会する。
闇社会に生きるその男の名は木崎。
木崎はある仕事を依頼してきた。
「失敗すればお前を殺す。もし逃げれば
最近お前が親しくしている母子を殺す」
その瞬間、木崎は彼の絶対的な運命の支配者となった。


あらすじだけだと、たとえば馳星周の小説みたい。
中国人強盗団を装った議員暗殺、
別の政治家、IT関連企業社長、
公益法人理事などの失踪や事故死。
一見無関係に見える出来事の裏に潜む闇組織。

ノワールな題材でも
純文学になるとこんなテイストなのねー!


ターゲットの物色、接近、実行、逃走に至る
緻密で緊迫感あふれるスリの描写は読み応えバツグン。
そして木崎という男の怖さったら・・・

誰にも本名を明かさず、他人と関わりを持たず、
ひっそりと生きている主人公の前に現れた一人の子供。
母親に万引きを強制され、母親の男に殴られている
少年に対する主人公のクールな関わり方、
そして、子供とは思えない老成と諦念を感じさせる少年。
(「スタンド・バイ・ミー」でリバー・フェニックスが演じた役を思わせる)
この2人の関係がハードボイルドで渋い。
言うまでもなく、少年の母親は存在もキャラクターも醜悪そのもの。

追記:↑少年についてリバー・フェニックスと書いた後で
    「スリングブレイド」の方が近いかも?と思い出した。

'10 5 ★★★★☆
[PR]

by gloria-x | 2010-05-10 21:26 | ブックレビュー